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横浜FCは3連勝の後、5連敗。「ここは」という試合を落とすと悪い流れに乗ってしまうんだよね。僕らにとっては4日(2010年4月4日)のカターレ富山戦がそうだった。連勝が途切れた直後、チームの予算とか目標を考えたら、絶対に負けちゃいけない一戦だった。そんな相手に負けるとPKを外したり相手FKが壁に当たって入ったり、不運にとりつかれてしまう。いい流れをつかむのは難しいけれど、悪い流れに持っていかれるのは簡単なんだ。
第9節に勝って連敗は脱したけど、まだ“借金”がある。原点に返って、日々の練習をしっかりやるしかない。それとコミュニケーションかな。チーム状態が悪くなるとミーティングをやっても分析ビデオは悪いところを抜き出したものが多くなるし、名指しでしかられる選手も出てくる。どうしたって空気は重い。そんなときだからこそ、意見があるならしっかり言わないとね。決定権は監督にあるし、リスペクトの念もあるけど、サッカーでメシを食べているという意味では監督と選手は五分の関係、というのが僕の考えだから。
2週間ほど前にドワイト・ヨークが訪ねて来て、ご飯を食べながらサッカー談義に花が咲いた。マンチェスター・ユナイテッドでベッカムらとプレーしたFWで、僕とはシドニーFCの同僚。ヨークが言うにはマンUは一年に一回、監督やコーチ、選手がパブに集まり酔っ払って言いたいことを言う機会を作るそう。こわもてのファーガソン監督も、このときは言いたいだけ言わせるんだって。
そんな話を聞き21歳のときにキンゼ・デ・ジャウーで仕えたジョゼ・ポイというアルゼンチン人の監督を思い出した。練習でも試合でも指示がうるさい人で、あるとき「うるせえよ!」と怒鳴り返したら「出て行け!」。でも練習が終わったら「監督だから言ってるんだ。オマエもいつか分かるよ」と笑顔で何のわだかまりもない。大人の余裕があって、参ったって感じ。
日本にも「無礼講」という習慣があるけど、いまも機能しているのかな。「何でも言え」と言う割に、何か言うとカチンと来る人って結構多いような気もするんだよね。時にはすべて吐き出して空っぽにする。人間にも組織にも大事なような気がするんだけどね。