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先月25日(2008年10月25日)の愛媛FC戦での今季初ゴールに、僕らしさが表れていた。ゴール前でDFをかわして、相手に体をぶつけられて倒れ込みながら決めたゴール。そのシュートがFWとしての本能だという人もいるけれど、その前のキックフェイントこそが見せ場だった。
普通ならすぐにシュートを打つ場面で、クックッと切り返してDFを抜くドリブルへのこだわり。野球の投手で言うと、球速が衰えてもあくまで直球で押していくのと似ている気がする。三振が取れるかどうかではなく、直球で勝負できたことが大事だという感覚。あの狭いスペースでDF2人を抜くところに、僕の原点のストリートサッカーに通じるものもあった。
決める自信がないから打たなかったわけじゃない。外せば当然、なぜ打たなかったんだと批判される。昔のカズなら打ったはずだと。でもあれはストライカーになる前の、ウイング時代の僕のプレーなんだ。打つと思って飛びかかってきたDFが切り返しに引っ掛かる、その瞬間を楽しみたかった。そんなだから今季ずっとゴールが取れなかったのかもしれないけれど。
今はFWではなく右MFで起用されていて、ボールを失ったら味方のペナルティーエリアまで戻り、攻撃時には相手のペナルティーエリアにも入っていく。FWよりも走る距離が長いし、ゴール以外に求められる仕事も多い。
ただ、ここまで僕が1得点で、左MFの滝澤(邦彦)が無得点。アシストはいくつかあるにしても、両サイドの僕らがもう少し点を取っていればチームの順位も変わっていただろう。1試合に1点取れるFWはほとんどいないわけで、固め取りするときもあれば無得点が続くこともある。その取れない試合で僕ら中盤がゴールできていれば、今ごろ11位ではなくて昇格争いに加わっていたかもしれない。
もちろんゴールに直結するパスなら、それはゴールと同じ価値がある。ドリブルで相手を抜くのも、つなぎ役になるのも、守備で相手のパスを止めるのも、いいプレーは全部価値があって、ゴールを一つ奪えばそれでOKというものじゃない。ポジションが変わってゴールへのこだわりが薄れたというよりは、バランス良くプレーすることの大事さを感じているんだ。