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北京五輪に臨む日本代表18人がいよいよ決まった。メンバーを読み上げた反町康治監督にとっては、晴ればれしい気持ちがあるのと同時に、つらい決断だったと思う。これまでほとんど全試合に出て、一緒に戦ってきた中からも落選した選手がいる。監督である前に一人の人間だから情もある。複雑な心境だったろう。
信頼している中から調子のいい選手を組み合わせて使える予選とは違って、本番はたったの18人。心を鬼にして選んだのだろうけれど、きっと監督の仕事の中で一番難しい決断だったはず。大会で負けて責められることよりつらいんじゃないかな。
ただそれは、予選で貢献した選手を外さなければならないほど、いい選手がたくさん出てきたということだ。チームにとって、みんなダメだと言われるよりよっぽどいい。選ばれた選手は日本代表の誇りを持って本番に臨むだろうし、落ちた選手もこれで終わりじゃない。アテネ五輪で落選した浦和レッズの鈴木啓太選手も、いまはフル代表で頑張っている。人生もサッカーも続いていくからね。
それにしても監督という仕事は大変だ。クラブの場合、チームの成績が悪ければ、営業スタッフも苦戦を強いられるし、広報もサポーターのブーイングに対応しないといけない。選手の家族も含めていろんな人の「思い」が自分に向けられるわけで、それが代表になると日本中の注目を集めることになる。
称賛と非難が紙一重。ジェットコースターのような毎日だから、心身の負担はものすごいはず。大統領に任期があるのと同じで、長く続けられる職業じゃないんだろう。
44歳の反町さんと41歳の僕は、選手としてほぼ同じ時代を過ごした仲間。テレビを通して見ると堅いイメージがあるけれど、現役時代はサッカーに励む一方で、しゃれた遊びをする人だった。日本代表で一緒にプレーしていたときには、連れだって夜の街に遊びに出たこともある。そのころから緻密(ちみつ)な作戦を立てて“試合”に臨んでいたね。
反町さん、五輪が終わって重圧から解放されたら、昔を思い出してまた一緒に夜の世界へ繰り出しましょう。今度は僕が作戦を立てておきますから(笑)。