BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2008年04月11日(金)掲載

“サッカー人として”
2008年04月11日(金)掲載

4月に負けないこと

 リーグ開幕から1ヵ月、順調に白星を重ねているチームがある一方で、なかなか結果を出せずにいるチームもある。つまずいた理由をいろいろと説明してみても、結局は結果論でしかないことが多い。


 例えばセレッソ大阪は今季の始動が2月に入ってからで、J2で一番遅かった。ここまでの成績は3勝3敗。もっと早くから準備して実戦感覚を養うべきだったと言う人もいるけれど、もし開幕から連勝を続けていたら誰もそこに文句はつけなかっただろう。むしろしっかり休んでリフレッシュできたのが良かったと言われたはず。同じことをしても、結果次第で評価もガラッと変わってしまうんだ。


 3月29日(2008年)の水戸ホーリーホック戦では、僕に代わって途中出場したスピードのある太郎(長谷川太郎)やヨンチョル(曺永哲)がリズムを変えて同点に追いついた。それをスポーツ紙では、緩急がついて相手が対応できなかったと書いていた。それぞれの役割がしっかりしているという印象だけれど、試合に負けていれば僕のプレーが遅かったと批判されたかもしれない。“ものは言い様”だね。


 スタートダッシュに失敗しても、J1では浦和レッズやガンバ大阪のような力のあるチームは巻き返してくる。むしろ発展途上のチームやJ2からの昇格組の方が出足はすごく大事。特に開幕から数試合を戦った後の4月に踏ん張れるかどうか。去年の横浜FCも3月に初勝利を挙げてから、4月に勝てなくて沈んでいった。


 4月を過ぎてチームの成績が振るわなければ焦りも出るし、補強や放出、監督解任といった話も出てくる。降格がないから監督交代も少ないJ2と違って、J1では降格への危機感が強い。J2に落ちると収入が減り、注目度が減り、選手の給料も減る。でも早めに手を打ってもうまくいかないケースもあって、結果的に次から次へと無駄金を使ってしまうクラブを僕はたくさん見てきた。


 とにかく大切なのは負けないこと、勝ち点1ずつでもいいから積み重ねていくこと。普段の生活でも貯金があるのと借金があるのとでは毎日の笑顔が違う。「負けの借金」を増やして他チームに引き離されないように、食らいついていかないとどんどん苦しくなる。借金を返すのは貯金をつくる以上に難しいからね。