BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2008年03月14日(金)掲載

“サッカー人として”
2008年03月14日(金)掲載

誤審指摘も仕事のうち

 いよいよJリーグが開幕して、横浜FCは白星スタートを切った。そんな試合結果やプレーとは別に、先週はゼロックス・スーパー杯での判定が大きな話題になった。PKの判断や警告の多さが問題視されたようで、テレビ観戦した僕から見てもおかしいと思う判定がたくさんあった。


 その家本政明主審は、僕の京都パープルサンガ在籍時のチームのマネジャーで、トップ審判を目指して練習試合などで笛を吹いていた姿を今も覚えている。そんな僕でもかばいきれないくらい変だなと思う判定が時々あるけれど、めげずに頑張って前へ進んでほしい。


 審判も人間だから、判定を間違うこともある。そんなとき日本のテレビ解説者は「微妙ですね」とか言ってごまかしたり、うやむやにしたりするけれど、どんどん指摘すべきだ。試合中の選手の抗議は良くないことでも、解説者にとってはそれも仕事のはず。


 選手のプレーの批評をするのと同じように「今のは主審のミスジャッジです」と言えばいい。それは批判や中傷ではなくて、レベル向上のために必要なこと。選手や審判だけでなく解説者もプロなんだから。


 良くも悪くも、言われたことをちゃんとやる日本人の気質は選手も審判も同じだ。ドリブルしたくても、監督にパスを出せと指示されたら必ずパスを出すのが日本人選手。それと一緒で「この反則をしたら警告だ」と教えられたら、そんなに悪質じゃなくてもマニュアル通りにカードを出す。南米や欧州の審判の場合は、もう少し試合の流れや状況を考慮して自分の裁量で判断しているように思う。


 速い展開の中での接触プレーなど、教科書の知識だけでは判断できない場面にも日本人は弱い気がする。ただ、審判の目線で考えると、難しさがよくわかる。僕は審判のトレーニングを見学したこともあるし、各クラブ向け判定講習会も毎年受けている。その講習用のプレー映像を見ると、一瞬の出来事だから反則かどうか判断できないものの方が多いんだ。


 若いころは「この審判はサッカーを知らないな」と思うことが多かったけれど、実は知らないのは僕の方だったんだろう。判定の難しさが分かれば、審判に対する見方も変わってくるんじゃないかな。