BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2008年02月29日(金)掲載

“サッカー人として”
2008年02月29日(金)掲載

無理のしどころが肝心

 26日(2008年2月26日)に41歳の誕生日を迎えた。現役最年長ということで注目してもらえるのはうれしいけれど、自分の中では大した問題ではないし、今年もやることは同じ。全試合フル出場を目標に頑張るだけだ。


 ただ、その目標も3月9日のリーグ開幕戦欠場で、いきなり達成できなくなるかもしれない。右脚付け根の裏側を痛めてしまって、今はチームとは別メニューの練習を続けている。以前の僕なら開幕に間に合わせるために無理をして、ごまかしながらプレーしただろう。でも、もうそんなに若くもない。無理せずしっかり治して、体をもう一度鍛え直そうと思う。焦る必要はない。


 もちろん試合に出たいという気持ちが薄れているわけじゃない。「するべき無理」と、「してはいけない無理」があるということだ。J2は42試合の長丁場。開幕戦に強行出場してケガを悪化させるくらいなら、何試合か休んでベストの体調を取り戻す方が賢明だ。


 無理をするのは、治療を終えて復帰に向けた段階に入ってから。休んだことで故障の周りの筋肉なども弱っているから、いざボールをけったり走ったりすると痛くなることがある。でもそれは筋肉痛のようなもので、グッとこらえて乗り越えないといけない。そこで無理をして弱い部分を鍛えなければ100%の自分には戻れない。


 一番良くないのは痛みが引いた後に、ろくにトレーニングもせずに試合に出ること。痛みが再発すると、ケガの痛みなのか弱った部分の痛みなのか分からずまた休んでしまう。復帰と離脱の繰り返しで、もちろんプレーの質も上がらない。そうやって沈んでいく選手を僕は見てきた。無理のしどころが肝心なんだ。


 プロ野球の江川卓さんが現役のころ、打者27人全員から三振を取ることを目指していたと聞いたことがある。そこから一人でもゴロを打たれたら完全試合を、四球を出したらノーヒットノーランを目標に投げ続けたと。それと同じで、開幕戦に出られなければ2試合目から、それもダメなら3試合目からのフル出場が今季の僕の目標だ。


 究極を求めつつ、こだわりすぎるのも良くない。常にその時点のベストを目指す姿勢でいたいね。