BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2024年09月27日(金)掲載

“サッカー人として”
2024年09月27日(金)掲載

「ちゃんとやる」の中身にこだわる

 2度経験した身から言わせていただければ、ワールドカップ(W杯)最終予選とは落とし穴だらけ、大変な難路であります。ましてや今では相手のレベルは上がり、分析で対策をされ尽くされる。そこを7-0、5-0で滑り出すのは並大抵のことじゃない。


 先発する選手のみならず、コーチ陣、ドクターや食事をつくる人も含めた携わる全員が、各自のポジションですべきことをちゃんとやれているから、今の日本代表は強いんだと思う。いい準備なしには、結果も伴わないのだから。


 色々な場所で、様々な人が頑張っている。「ちゃんとやってる?」と聞けば「やってます」と返事がくるほどに。でも、本当に「ちゃんと」やれているかな?


 我が身を省みると、日課の体幹トレーニングで知らず知らずと、あるべき形からそれているときがある。意識すべき筋肉への注意が薄れ、負荷をかけていたつもりが楽をしてしまっている。トレーナーに矯正されて、はっと気付く。


 アトレチコ鈴鹿のスタッフに「入場者数をどう伸ばすんだい」と尋ねたら、「ポスターを張ってます」と返ってきた。それも大事。ただ、特別養護老人施設を訪ねるなり、高齢者対象のツアーを組むなり、もっと、できる何かはあるんじゃないか。


 鈴鹿では以前、遠征時の移動着がバラバラだった。こうなると、はたからはどうにもチームっぽくみえない。練習生が、みんなとは違う自分の練習着のまま練習参加した日もあった。組織として締まりがなく、同好会じみてくるからと進言し、両方とも統一してもらった。


 さまつなことじゃん、と思われるかもしれない。でも、仕事や人生においてはディテールにこそ色々なものが宿る。そして「ちゃんと」の細部とレベルは人によって様々。こだわりを形にするためには、自分の頭を働かせ、足も使って、小さなことでも自分から動いていかなきゃ。


 人間、感情に支配されがちだから、気が乗らないときもある。頑張って反復に耐え、それでも結果が伴わない、そこでまた同じ努力をできるかとなると、くじけそうにもなる。


 9月23日のリーグ戦。内容の乏しい、尾を引きそうなドローに終わった。オフに入る前にジムワークを入れるルーティン通りの自主練習を予定していたけど、翌朝に回そうかと考え始めた。試合でのモヤモヤ感が強すぎて、やりきれなく、前向きになれなかった。半日だし、いいか……。


 いや、だめだと思い直し、食後から午後11時半までジムにこもった。くじけそうな気持ちをぬぐうためにも、ここは崩さず、立ち向かわねばと思った。感情的なものに流されているうちは、結果は近づいてこないぞと言い聞かせて。


 小さな「ちゃんと」を少しずつでもコツコツと、どんなことがあってもやる。その愚直さが、御しがたい感情のブレを手なずける訓練にもなる。習慣化とはそういうことで、だから習慣を固められている人は強い。


 成功の回数にとらわれるでなく、失敗の数を嘆くでもない。何回、立ち向かえるか。挑戦できるか。その小さなコツコツは、巡り巡って、人生のモヤモヤを打ち消してくれる。