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ポルトガル2部で対戦もしたGK小久保玲央ブライアン選手(ベンフィカ)らが出場したU-23(23歳以下)日本代表が見事、パリ五輪出場権を獲得した。みなさん、レオ君、優勝おめでとうございます。決勝でのあのPKストップは、チーム全員の思いをレオ君が受け止めてこそ生まれたんだと思う。
トップチームで試合に出られなかった時間も、こうやって報われていく。でももっと大きな未来が、レオ君次第で待っている。世界トップレベルのGKを目指して頑張ってほしい。
藤田譲瑠チマ選手(シントトロイデン)には「いい選手」はうまいだけじゃないなと、感心させられた。プレーに意思がすごく込められていて、相手や周囲に動かされるのではなく、自分が動かし、仕切っていく。主将らしい存在感だった。
これからの若い選手の伸びしろは計り知れないもので、一つのきっかけでガラリと、別人のように変貌を遂げうる。チームにも言えることかもしれない。
僕が19歳のころ。一つ上のカテゴリーの選手にドリブルも何も全く通用しなかったのだけれど、ある時ふと、いつの間にか抜き去れるようになった。鍛錬ゆえ、偶然の産物ではないとしても、一つのドリブル突破、ゴール、プレーを機に、自分がワンランク上がった手応えがふいに舞い降りるようだった。
意識して取り組み続けてきたことが、無意識にできるようになる。そのとき初めて、何かを身につけたといえる。意識しなければできないうちは、まだ本物じゃないんだ。
FWでいえば、前線でDFがいようがスペースが狭かろうが、ボールを受けたらすぐに前を向けることは一つのスキルだ。前を向かないFWなんて怖くない。そこで僕らは日々、前を向こう、向こうと取り組む。考えて動いているうちはまだ、しっくりこない。これが「いつの間にか」前を向ける瞬間がある。体が無理なく、スムーズに求められる動作に応える。
空いているスペースを察知する、受けたパスを1つ目のタッチでどこそこに止める、相手の位置に即してポジションへ動く。すべて、意識することで身につけていくものでありながら、意識してやっているうちはまだ二流。これ、チームの「一致団結」でもそう。
大事な戦いだから結束するぞ、残留のために全員で一つの方向を向こう――。よくある掛け声が飛び交ううちは、そのチーム力はたかが知れている。難しい状況に直面し、克服するといった小さな成功のプロセスを通じて、リアリティーを伴う組織力は立ち上がる。考えなくてもシンクロできるかのような相互信頼、一体感。こればかりは、一選手の姿勢や監督の指導だけで生み出せるものでもない。
失敗すれば、五輪の道が途絶える。そんな決戦をU-23日本代表は1つ、2つと乗り越えた。それでこそ至れた一体感の境地が、あったんじゃないかな。