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終了間際に追いつかれた4月17日の試合直後、思わず隣の知人に「今日も負けちゃったよ」とつぶやいていた。負けていないのに「負けた」と感じ、ハッとする。
横浜FCが開幕からリーグ戦で1勝もできていない。これだけ好転しないと自信も揺らぐ。どう練習し、どう戦えば勝てるのか。よく聞かれるけれど、その問いは当人の僕らがもう何十回と繰り返している。勝つためには、とにかく勝つことしかないんじゃないか。禅問答のようだけど、勝つことでしか変わっていかない何かがある。
2年前は「なぜこんなに勝てるんだろう」と不思議なときもあった。勝って成長を実感でき、いつのまにか23勝。同じチームが悪い流れにはまると10試合で1回も勝てない。今の状態でJ2に組み入れられたら、勝てないかもしれない。負けに慣れて弱ったチームは地力も発揮できなくなる。
懸命でないわけがない。なぜ、どうして。40年近く現役をしていても明確な答えは、ない。正解を僕が持ち合わせているなら、早々とチームを勝たせているよ。こうしたトンネルを抜け出すための都合良い特効薬はないと、改めて思う。
新型コロナウイルスの流行も、1年たっても終息が見えず、また緊急事態宣言が出ざるをえない状況になっている。いつまで我慢すればいいんだという声もわかる。人間、先が見えないなかで頑張るのはつらい。それでも、ワクチンが行き届き治療薬ができる日まで、現状を受け入れて向き合っていくしかないよね。
くじけそうになり、テンションの下がる日もあるだろう。それでもいいじゃない。サッカーも24時間365日、緊張感マックスではいられない。張り詰めた努力のガードを解く瞬間を、どこかでつくる。そして立ち直り、出口を目指す。
周りに迷惑をかけちゃいけないし、何事も限度とルールがある。感染を広めてしまう気の緩め方はダメ。でもルールの範囲内ならたまには一息ついていい。知り合いは独りでジョッキ片手に、誰にともなく「このやろう」と文句を言って憂さを晴らしているよ。僕でいえば風呂にでもつかって、気持ちを鎮める。心が整う。
魔法や奇跡には期待できないのだとしたら、息を抜きながらも全力で、希望に向かって走ります。