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勝てば13年ぶりにJ1へ戻れる状況で、リーグ最終戦を迎えようとしている。
引き分けても3位の結果次第で望みはつながる。ただ、こればかりは最後の最後まで分からない。2007年、J1の浦和レッズは残り2試合で勝てば優勝できた。ところが鹿島アントラーズ、横浜FCに連敗。以来、J1を優勝できていない。
ドーハの悲劇もそう。1分前まではワールドカップ(W杯)が目の前にあった。ほんの1分ですよ?
ここで焦っても1ポイントが足されるわけでなく、1ポイント引かれるわけでもない。一戦一戦の積み重ねで僕らは今の場所にいる。チームはそわそわすることなく、「J1だ」「上がれるぞ!」と浮足立つ人もいない。今週の練習のムードも、いつも通り。
いつも通りに。これは、物事を積み重ねてきた人だからこそ言える言葉だ。
母親が、いつも通りに息子のお弁当を作る。眠い朝も、寒い夜明けでも。それがどれだけ大変なことか。毎日筋トレに励む、毎日英会話の勉強と格闘する。「いつも通りに」とは簡単そうな響きと裏腹に、なかなかできることではない。地味な反復が身に染みていてこそ、自然に「いつもの」というスタンスでいられる。
横浜FCというクラブは確実に変わってきている。チームでは大学卒の新人や、ユース育ちの若い選手が活躍の場を与えられ、筋トレ室の整備などプレー環境をより良くしようというマインドも生まれている。この先の10年は横浜FCそのものの価値でスポンサーを得て歩んでいく、そんな歴史の第2章へ踏み出す入り口を迎えているんだ。
加入してからの14年間、僕は横浜FCがJリーグに存続し、少しずつ大きくなるために求められたようなもの。ただ、J1に定着しようとすれば僕のポジション、FWに優れた外国人を据えねば勝てない。速さのある若手も伸ばさないといけない。これからはいい循環を保ちつつ、ノンストップで前だけをみていくべきだ。そこで僕の入り込む隙は小さいだろう。でももちろん、まだまだ終わるつもりはないよ。
もっと大きくなるための次なるフェーズへ。そのためにも、いまこそ絶対にJ1へはい上がらなければいけない。来年、あるいは「次」に、いまよりもいい位置や良い状況を手にできる保証なんてないのだから。
夜明け前。チャンスは、つかまなければならない。