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選手の力だけでなく、経営スタッフや地域、サポーターやスポンサーも含め、横浜FCにかかわるどのピースが欠けてもJ1昇格は達成できなかったと思う。
昨季は昇格プレーオフで敗れ、今季は2位で自動昇格できた。今季もギリギリの戦いばかり。でもそれこそ昇格レース、なんだよね。ギリギリの体験の蓄積がクラブの成長なんだろう。
でも、この喜びはもう終わりにしよう。遠足気分で行くところではないのだから。昨季J2で21勝した松本山雅が、今季はJ1でまだ6勝しかできず降格を余儀なくされる。前回、横浜FCがJ1に挑んだ12年前も4勝しかできていない。その場に居られる喜びだけでは、そこに居られなくなる。つまり居場所とは、勝ち取り続けるべきものなんだ。
いい選手は引き抜かれ、チームが戦力ダウンにさらされる。いい選手が加入したら自分の出番は危うくなる。それがサッカーの常。僕らに安定や定常は与えられない。安泰でいたければ、努力が必要になる。
自分自身は先発が2試合、途中出場が1試合しかなく、悔しさしかない。出場機会を大きく減らしたこの2年をみて「もう無理かも」と思う人もいるだろう。でも僕は「試合に出る」と本気で思っている。そうはならない現実が増えるかもしれない。そこで例えば10分しか出ないから10分間のプレーを想定した練習に減らす、なんて生き方は僕の辞書にはない。取り組んだものの成果が90分だろうが1分だろうが、向き合う姿勢は変えない。そうやってこの1年も歩んできた。
最終戦、残り3分で出場機会を得た。「2~3分なら、何歳だってできるよ」と冷やかされるかな。「温情をかけられた」とかね。でも、毎日積み上げてそこを目指さないなら、温情ですらも得られない。毎日寝ているだけでは最終戦の一員になる権利はなく、カズという名前であの出番が降ってきたわけじゃない。この1年、積み上げ続けたからこそ、あの場に立つ資格も得られたのだから。
「J1に定着します」「新国立に立ちます」。そんな軽々しいことは言えません。でも「J1は大変」で立ち止まりたくもない。出られずに悔しい、で終わらせるつもりもないしね。悔しい、の先へいきたい。