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頂点を極める人には孤独がある。登り詰めているうちは近寄ってきて、ちやほやしていた人たちが、下り坂になるや離れていく。周りの人間への不信。寂しさ。酒に救いを求めてしまうスターだっているだろう。
最終的に残るのは生身の自分自身であり、その自分を信じ切れるかになる。「あいつは終わった」「彼の時代じゃない」と周りがささやこうとも、自分だけは自分の味方でいられる。復活優勝を果たしたタイガー・ウッズも、38歳でなお奮闘する松坂大輔投手もそうなんじゃないかな。他の誰よりも、ウッズ本人がウッズのファンなのかもね。だから頑張れる。自分のプレーを誰も信じなくなっても、自分だけは信じている。僕もそんな思いでいる。
人生の階段から転げ落ち、孤立無援になったとしても、「自分は何を大切にしなければならないか」に思い当たれる人は強い。どうやって自分は今の人生にたどり着けたのかと問うたとき、ウッズならばゴルフコースで戦い、松坂投手ならならばマウンドで投げてきたからだろうし、僕においてはサッカーに身をささげてきたからこそといえる。
サッカーに自分は育てられ、大人にしてもらえた。同時にサッカーは、僕を子どもにしてくれる。グラウンドに立つ間は子どものように無邪気に笑い、怒り、悲しみ、喜べるのだから。
孤独でなければ強くなれない、ともいえてね。プレッシャーや大勢からの期待を支えるのが、自分しかいないという孤独に耐える力がなければ、それだけ巨大なものを背負いきれない。
「オンリーワンでいいなんて言っている人たちの、甘っちょろい考えは許せない。僕はナンバーワンでなきゃ嫌だ」。イチローさんの強烈な言葉に触れたとき、自分は甘いなと反省しました。オンリーワンでもいい、記録に残らずとも他にはマネのできない“自分”を貫ければいいと思うところもあった僕は、逃げを打っていたといえるのかも。かくいうイチローさんは「オンリーワン」でもあるんだけどね。
成功し続けているようにみえる人も、実は浮き沈みをしているものなんだ。必ず訪れる波の底で、どれだけ踏ん張れるか。どうすれば反転できるか、マニュアルなどない。でも僕らはそこから再び跳躍してみせる。人生は、何回成功するかじゃない。何回はい上がれるかだ。そんなフレーズを胸の中でリフレインしています。