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プロ野球のイチローさんが古巣マリナーズへ復帰することが決まった会見の席で、「50歳まで現役」ではなく「最低でも(現役で)50歳まで」と語っていた。
あれは現役を続ける単なる意思表示ではなく、メジャーリーグで最低でも50歳までという決意表明だと僕は感じた。それ以外の選択肢は考えない、くらいの覚悟の現れに思えてならない。
自分と契約してくれるところがあれば、どこへでも行く。僕自身はそんなスタンスで昔からやってきた。ブラジルには州から全国レベルまで、1部から4部まで、星の数ほどクラブがある。自分が必要とされ、体が元気な限りは、そこで輝きたい。そう考えるようになったのはあの国で育ったからだと思う。ただイチローさんの場合は、また違う考え方なのじゃないかな。
腹をくくり、退路を断ち、高いハードルを課して挑み続けるわけで、ものすごく難しいことだ。第一線で、日本人枠がある舞台でもない。すごい、と言葉にすると安っぽいからそうは言いたくない、表現に困る「すごさ」というか。技術、精神力、情熱、悔しさ、積み上げた全ての要素がトップレベルなんだろうね。
その姿が発奮材料にならないわけがなく、では自分はといえば……ふがいない。何もできていない。肝心のリーグ戦で役に立ててない。だから充実感もない。
1トップ、トップ下、サイドとポジションは色々と割り振られているけど、その点にこだわってはいない。役割は定まらなくても、与えられた場で長い時間プレーして貢献することが僕の理想。とかく最近はオフ・ザ・ボールが重要だと言われるけど、サッカーの原点はやはり「ボール」だとも感じる。オン・ザ・ボールのとき自分に何ができるか。そんな覚悟でもっともっとボールに絡みたいね。
イチローさんとは折々で連絡を取り合っている。「変わらずやっています」「お互い、刺激し合えるといいですね」。昨年末も日本で旧交を温めた。メジャーでの姿をずっと見たい、見たいと思いながら、まだ果たせぬまま。J2だと中断期間もないものだし、僕がオフ期間は彼もオフで、見にいくタイミングを失ってしまう。思いのほか、現役が長くなっちゃってね。僕の方が。