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仕事と遊びは別々のものでなく、2つで1つ、一連のものだと思う。たくさん仕事をし、たくさん遊ぶ。このスタンスでずっとやってきた。アクセントとして遊びが入ることで、いいことも嫌なこともいったんリセットできる。クッションとして働いて、また気持ちがサッカーへ戻ってくる。
だからサッカー以外の時間は、サッカー人生をつないでくれてもいる。サッカーと同じくらいの熱を、遊びにも注いできた。勝てば祝勝会。負ければ残念会。ただしやっていることは一緒――。プレーが良くても悪くても、そんな変わらぬリズムで。
お酒をあおり、パーッと嫌なことを発散できれば、その瞬間はいい。だけど落ち着いてみると「……何やってんだ」となる。気を紛らわしただけじゃないかと悟る。人生経験が備わってくると、昔なら浮ついた場面で一歩引き、自分を律するようにもなる。抑止力がつくというか。
でもこれが出来過ぎても、やっぱり人生は面白くないんです。仕事も遊びも100%で突っ走ってきた人間からすると。「明日は練習があるから控えよう」が常だと、だんだん地味になり、どこかつまらない。
体のどこかが痛い。気が乗らない。そんなときもあるよな、とトレーナーに話したら「そりゃそうです。あと30年もすれば体の全ての機能は確実に停止しますから」と返ってきた。この重い見解を前向きにとらえれば、今の痛みこそ生きている証拠かもしれないし、1つの痛みくらいたいしたことないな、と思えてくる。
ルヴァン杯決勝の前夜祭に初代MVPとして招かれた。これも練習とは直接関係のない時間。でも、1年前はJ2で横浜FCに1分け1敗のセレッソ大阪がファイナリストになっている。ずいぶん遠くに行かれて、悔しくもあり、夢の持てる話でもある。そうやってあの場で感じたことをチームへ還元できればいい。それに、僕らは人前に出ないと輝かないものだ。
人は見られることで変わる。何気ないカフェででもそうだよ。見られ、声をかけられることで顔つきも変わっていく。かつての百歳超えの人気姉妹になぞらえ「きんさん・ぎんさん」現象と僕は名付けています。人目を浴びて、ますます元気になる。
自分に元気がなければチームも引っ張れない。元気を出すには人前に出て、他人からパワーをもらうことも大事。遊びと同様にスポットライトも、サッカーへ生かせるはずだからね。