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今季のJ1優勝チームは年間勝ち点首位の力を発揮した浦和レッズではなく、鹿島アントラーズに決まった。あるいはJ2でもこの数年、上から順でなく6位や4位が昇格している。不公平だ――。でもこれが「チャンピオンシップ」であり、最初から分かってやっていることだしね。
6位でもJ1へ行け、3位でもリーグ王者になれる可能性を追いかけられる。不公平のあるところには夢もあるというわけだ。夢と現実、両方あってもいいんじゃないかな。やはりJ1は1ステージ制でないと、いやJ2はプレーオフがあるから面白い……。そんな議論が出ることが大事。そこからベストの道が探られ、歴史は作られていくから。
浦和は9年前、最終節で横浜FCに負けて制覇を逃している。「カズさんがアシストしたあの試合から優勝できなくなった。『カズの呪縛』です」と某スポーツ紙がいう。31年プロをやってそんな話聞いたこともないんだけど。あれは呪いというより、勝負の厳しさ、予見しづらさとすべきもの。
最下位ゆえの気楽さで力を出しやすかったし、Aマッチ出場数の合計なら僕や山口素弘、三浦淳宏選手らのいた横浜FCが上で、経験でみればチャンスありと思っていた。不公平に夢、呪縛。サッカーの歴史はその繰り返しです。
自身の2016年でいえば、20試合出場2得点という数字の面でも、チームへの貢献度でも、自分が期待したものには程遠かった。6戦続けて先発した6月、勝ち星は続かず、守備的な戦術をとった試合だと守っただけで交代もした。でもチームが必ず良くなると信じてやっていたし、自己犠牲も大切。
「我慢、我慢」と自分に言い聞かせた一年だけれど、セレッソ大阪戦のゴールという深い喜びもある。ドリブルで切れ込み、いいタイミングで振り抜き、最高のコースへ。感触として今も体に残っている。あれを再現するためにも、僕はまた走り出す。
9日(12月9日)から早くもキャンプイン。サッカーだけを考えていられるグアムは、自主トレで向かうたびに僕を新鮮にしてくれる。20代に戻れる、というかね。「すべてのことは、サッカーでならかなうんだ」と信じさせてくれる。夢や不公平、我慢が繰り返されようとも、僕は自分のできることを整えていく。
今年も一年、お疲れさまでした。また2月にこのコラムでお会いしましょう。