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サッカーにずっと身を置いてきて、改めて思う。「あり得ない」ことなど何もないんだなと。名古屋がJ2に降格する。トヨタ自動車という有数の企業をバックボーンに持ちながらも。
降格というものが、もはや珍しいものではないということかもしれないね。リーグ開幕時メンバーの10クラブのうち、今もJ1にとどまるのは2チームだけ。3チームが降格する現ルールでは、現実的に6チームほどが終盤で降格に絡む。18チームの3分の1。これを人ごととは言えないよ。
どんなにいい選手、優れた後ろ盾があっても、崩れ出せば早い。選手層でもクラブの規模でも、明らかにJ2クラブよりも上の名古屋が落ちてしまう恐ろしさ。その怖さを、僕らはもっと日々自覚すべきなんだろう。3点取られて負けるのも4点取られるのも、敗北としては一緒――。間違いだ。その差が最後に違いとなる。残留だけでなく、優勝のためにも当てはまることだけどね。
いいサッカーをしていても勝てないときがある。でも必ず勝てると追いかけていく人がいる。年間勝ち点首位になった浦和レッズのペトロビッチ監督などはそうだろう。
偶然にゴールが転がり込んだとします。結果が出たぞと喜ぶ人がいる一方、歓迎しない人もいる。偶然は偶然以上のものではないから。失点やミスを結果論だけで非とする人は多いのだけれど、練習で取り組むことをやろうとして招いたならとがめない人もいる。たぶんペトロビッチ監督は後者で、これはロマンだね。
ただロマンは恋と同じで、貫くのが難しい。恋が愛に変わるとつらさも生まれる。恋に見返りはいらない。両思いでなくてもハッピー。愛になると、求めちゃう。だからつらくなる。恋のうちは想像を膨らませて幸せになれるけど、愛は想像だけでは続かない……。
サッカーに話を戻すと、ロマンと現実にギャップができるのは、それが仕事だから。つまりロマンで損をする人も出てくる。自分だけのことならロマンに身をささげ続けてもいい。でも仕事である限り関わるクラブや人があり、勝利や結果がなければ稼げず、縮小したり手放したりせざるを得ない。ロマン=理想だけを追ってそうなるなら、もうそれは理想とは呼べなくなる。だから結果主義へと傾く。
これ、正解はないんだけれどね。恋や愛と同じで。