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「カズさん、あんなに跳躍力ありましたっけ?」。磐田戦でのゴールに、元日本代表の戦友が「LINE」で連絡をくれた。クロスへ突っ込んだ豪快さに驚いたみたい。解説者でもある先輩は「向上心で常に新しいものを取り入れるカズだから、跳躍力を高めるトレーニングもしていたんでしょう」と。そんな訓練、していません。
48歳でゴールはすごいとたたえられるけれど、「本当にすごいかな」というのが得点した本人の気持ち。50歳の選手でも、ポッと出場してコロコロと球がくれば得点はできるよ。48歳で現役をしていてそれよりも感じるのは、日々ちゃんとテンションとクオリティーを保ち、ベスト状態であり続ける方がよほどすごいということ。
得点にたどり着くまでに何をやってきたか?見えにくい部分が一番大事だし、難しい。サッカーの日常は、自分なりの調整が許される特別扱いはされない。練習での負荷はみんなと同じ。そうしたテンションのなかで質を高める。毎日そんなプロセスに注力してきた。
以前にも話した通り、今季は「やはり点を取らないとだめだ」と意を新たにしている。意識しているのはジャンボ(大久保哲哉選手)ら味方FWとの距離感をうまく保ち、組み合わせで化学反応を起こすこと。ジャンボにまずマークが集まるから僕への寄せが軽減され、動きやすく、本当に助けられている。まず周りに生かされる、そしてペナルティーエリアの中に自分がいる。これをすれば点が取れるというセオリーに沿って、あの48歳でのゴールも生まれているね。
松井大輔選手(磐田)が磐田戦での僕をベンチから眺めていた。「普通にプレーしてますよね。それがすごいというか。普通だとできないですよ」。最近の僕はゴール近くで動いているから「得点のにおいがする」と言う人もいる。何となく得点しそう、という場面が普通になりつつあるとしたら、収穫だと思いたい。
ともかく皆さんが大騒ぎするほど喜んでくれたのは良かったな、と一息ついたあの晩。「いや、得点ぐらいで騒がれなくなるほど点を入れ続けないとだめだよ」。そうたしなめてきたのは我が長男であります。ギクリとしながらも大人の対応で返しておきました。「毎試合入れ続けたら、それはそれで大騒ぎかもね」。