BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2014年12月12日(金)掲載

“サッカー人として”
2014年12月12日(金)掲載

自分の居場所へ戻る

 今年はプロ生活29年間で一番試合に出られなかった一年だった。年齢からして「仕方ないよ」という人はいるかもしれない。でも「仕方ない」などという風に考えるのは、それは仕事を辞めるときだ。僕は仕方ないなんて思わない。何かが足りず、失敗したからこの結果がある。オフのいま、それを見つめ直している。


 正月の自主トレを前倒しして10日(2014年12月10日)からグアムに入った。まず年内に10日間、年明けにも10日間。2回に分けつつ例年の2倍の日数をかけて体を作り込む。このグアムにいる20日間で、自分に自信を持てる何かを作りたいと思っているんだ。


 ガンバ大阪やモンテディオ山形は先週も熱戦を展開し、さらに天皇杯決勝も控えるという戦いの最中にいる。僕もヴェルディ川崎のころは1月1日までサッカーで予定が埋まっていたわけだ。あの2チームをみれば分かるように、まさにこういう時期、戦い続けた選手やクラブはものすごく成長する。なのに悔しいことに僕らは2週間前から休んでいい身分だ。「いいのかな……走り続けなきゃ」という気になるよ。


 オフ冒頭の4日ほど。いつもは起床して見る早朝のテレビ番組を、カラオケ店で見ちゃっている。朝まで何してんだ、という話です。でもそれもいいんだ。じきに自分から走りたくなる。一週間後、公園を走り出す。汗が出る。息も上がる。「……やっぱり自分のいる場所はここだ」と思う。


 厳密にいえばマイクを握っている夜中も「これも俺だ」と思っているのだけど、戻らなきゃと感じながら家に帰り、体を動かしにいく。疲れる。「うん。これをずっと続けてきたわけだし、本来の居場所はこれだ」と思い出す。うん、やっぱり夜じゃないな、と。それを実感するためにも、遊ばなきゃいけないときが人間にはあるんだけどね。


 自分が自分でいるために、一番ほっとする場所。このグアムで僕は自分に戻っている。過酷で、きつい。でも苦痛ではない。乗り越えたら最高のプレーができる、という夢がある。常に前向きになれる。


 今回の自主トレ倍増構想は6月の時点で心に決めていた。つまり僕のなかでは6カ月前にすでに新しい年がスタートしていたわけだ。次にここでお会いするのは来年2月でしょうか。お先に2015年を始めています。