BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2014年11月14日(金)掲載

“サッカー人として”
2014年11月14日(金)掲載

全力でやるしかない

 ナビスコカップを優勝したガンバ大阪と、横浜FCは去年のいまごろ同じステージにいた。2-2で引き分けて「僕らもいけるのでは」と思ったものだ。いまガンバ大阪は3冠にも手が届くほどで、横浜FCは2試合を残してJ1昇格がなくなった。


 「2位も18位も一緒だよ」。もし18位の人が言ったら、ばかを言うなと怒られるよね。同じ言葉を準優勝の人なら、言ってもいい。決勝まで行き、2位に終わって初めて、2位も18位も同じだと分かる。決勝に出るだけではだめなのだと知る。そしてクラブも人間も大きくなる。決勝に行かなきゃ実感できないもんなんだ、といった話を後輩にした。


 だから僕らはまだ「本当の争い」をできていないのかもしれないね。勝ち点1で昇格を逃した、あと1点得点していれば――。そこまでたどり着いてこそ分かる、悔しさというものを。


 僕自身のことをいえば、今季は4分間しか出場できてない厳しさのなかにいる。今日も先頭で走る、先頭に立つんだと、やり抜いてきた。「まあいいかな」「これくらいでいいや」などという気持ちになったことは一度もない。ただしプロとしてはそれだけでは失格で、認められるものではない。


 「出場できなくても毎日頑張りました」。これは自分を納得させる限りのもので、評価のうえではゼロだ。頑張る。努力する。それは当たり前のこと。ただし普通のことを、普通に毎日やるのもやっぱり難しい。当たり前なことだけど、「簡単なこと」ではないんだ。


 状況がよくないときでも前向きでいること。若いときはそれができなかった。態度に出て、ふてくされもした。でも人生で良いときも悪いときも繰り返すうちに、感じられるようになる。「この苦しいときこそ自分が試されている」と。


 サッカーに本当の「苦労」はないと思っている。全部プラスになることだから。現役である以上、苦難のときは当然あるよ。でもそれが苦難か喜びかといえば、この二つは紙一重です。


 サッカー以外のことは何も知らない。30年近くプロをやって、サッカーですら知らないことがたくさんある。サッカーで喜びを味わい、痛みを教わり、大人にしてもらった。そういう存在、誰にでもあるでしょう? サッカー様々ですよ。


 だったら、サッカーに失礼のないようにやっていくしかないです。全力で。