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世間には「松本山雅」を知らない人がたくさんいる。そのクラブがJ2で一番の観客を集め、最も盛り上がりをみせ、まもなくJ1に加わろうとしている。
J1はJ2とレベルが全然違うのだけど、そこで何年か過ごすことでクラブに根付くものがある。26日(2014年10月26日)に試合で赴いた山形でもそう思った。確か10年前はお客さんが集まらずに苦労していたはず。それが2009年から3年間J1にいたことで根付いたものが、着実に膨らんでいたものね。
今季のJ2は安定感抜群の湘南ベルマーレと松本山雅を除くと、あとの20チームはどこが本当に強いのか分からなくなるくらい。横浜FCも春に勝てず、夏に勝てるようになり、と思えばまた足踏みといった波があった。ところが周りも似たようなもので、僕らが「負け込んでいるなあ」と嘆くとき、他のライバルもつまずいている。食って食われて、上とも下とも差が広がらない。
6位までプレーオフに出られるだけに、ちょっと負けても6位には食い込めるとのモチベーションにはなっている。でも現実をみても「6位」がJ1に飛び込むのはきつい。イタリアで2011年シーズンに2部の6位からプレーオフでセリエAに昇格したサンプドリアは、補強で選手を入れ替えたことで中ほどの順位に定着。そうしたうまい投資をどこかでしないと限界はくる。
27日(2014年10月27日)には松本山雅との練習試合で75分間出たけれど、またとない“やりやすさ”だったなあ。山雅は培った戦い方や技術を正面から出していたから。というのもJ2では自分たちの良さを出すよりも相手の良さを消して弱点を突くサッカーが多く、2部ならではの戦いにくさがある。J1の上位なら技術が伴っているからボールはきれいに動く。カテゴリーが下になるほど技術はおろそかでミスが増える。ミスをするから余分に走る量も増える。互いに走り過ぎて終盤は泥沼、なんてことも。
J2へ戻る徳島ヴォルティスにしても、来季は相手の寄せやボールの動きが遅く思えて「楽」に感じるだろう。自分がミスして渡したボールを相手も返してくれて「ああ、J2だ」と。でもJ1で得た経験を生かしたサッカーをJ2でしてほしいね。
忘れてならないのは、カテゴリーが何であれ僕たちの大変さは変わらないこと。差はある。でも「勝つ」ということに関して楽というものはどこにもない。