BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2014年10月17日(金)掲載

“サッカー人として”
2014年10月17日(金)掲載

ブラジルの味は強烈

 世界ランク100位のジャマイカと日本が戦えば3、4点は取れると思う人もいるだろう。でも勘違いをしてはいけない。ジャマイカの属する北中米はメキシコも苦戦するほどレベルが高いし、サッカーは1-0や2-1のスポーツでもある。いまやどこと国際親善試合をしても3、4点も入る状況はそうそうない……のだけれど、ブラジル戦では4点も入ってしまった。


 翌日、横浜FCで批判めいた声が。「なんでもっと相手に寄せなかったのかな。あんなにスペースを与えればやられるよ」。TVで見ればそう思うよね。でも山口素弘監督と僕は判を押したように「いやあれ、寄せられないんだ。『行ったら抜かれる』と思っちゃうんだよね」。ブラジルと戦ったことがあるから、そう感じる。


 外から見るよりも一つ一つのプレーが速いしボールを止めるのもうまいから、抜かれまいと一瞬とどまって“見ちゃう”。行かない、ではなく「行けない」。おそらく体感しないと分からないもの。それこそ経験であり、世界のスピードや間合いを知ることでもある。


 僕もブラジル代表と戦って0-3、1-5、0-3。1995年や1997年のことでも忘れるべくもない。ロベルトカルロスもロナウドも「なんだコイツ?」という速さだったもの。約20年を経て点差はほぼ変わらないのをみると、初勝利にはあと半世紀ほどのスパンを覚悟した方がいいのかもしれないね。ブラジルが足踏みしてくれればいいけれど、早くもサントスから“次のネイマールでは”と噂される10代が出てきているよ。


 ザッケローニ前監督は割とメンバーを固定しながらチームを作った。現時点でアギーレ監督は選手をどんどん入れ替えている。それぞれのやり方であり、どちらが正解・不正解というものではないと思う。料理と似て、濃い味だからダメで薄味はいい、でもない。中辛・激辛・甘辛、それぞれおいしいと言う人がいて、まずいという人もいる。「いい・悪い」でなく「好き嫌い」の側面もあるから。


 入れ替えといえば、トルシエ元日本代表監督は中心選手をわざと先発から外すことをした。その選手が、外れる境遇に立つとどんな人間になるのかを見るために。いい・悪いはともかくそんな職人もいる。仕事では、僕らはどの瞬間も試されているということです。