BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2013年11月08日(金)掲載

“サッカー人として”
2013年11月08日(金)掲載

同じカズダンスなのに

 今季2点目のゴールを決めた翌日。DFの背後から突っ込んだヘディングに「躍動感があったよ」とマネジャーから褒められた。へべれけに酔っ払って言われても、困惑するんだけど。


 ただ、彼は「カズに仕事をさせます」という言い方を絶対にしない。マネジャーの自分は仕事をお願いする立場であり、「させる」などあり得ないのだと。広告の仕事が舞い込んだのに「カズを使って何をたくらんでるんですか」と突っぱねる人も珍しいだろう。


 困っちゃうのは静岡の親父。「それ、知良にさせる」と頼まれ事を次々請け合ってくる。それでユニホームにサインをするのだけど、一体どこへ行くのやら。


 休暇で静岡の酒場に寄ったとき。店長が「カズさんのユニホーム、一番いいところに飾ってありますから」と自慢げだ。よく見たらビンゴの景品になっている。しかも5等。善意だろうけど、安売りが過ぎないかい。


 その親父が、横浜FCの三浦淳宏選手の引退試合で会った人々に「こいつ(=僕)も早く引退して、いろんな場所で引退試合やって、それでもうけたいけどな、なかなかやめないんだよ」と言い出した。「その試合でタオルを売ってな」と妄想は着々と膨らむ。どの世界でも、足を引っぱるのは身内のような……。


 余談はさておき。松本山雅戦はゴールしても勝てなかった。もっといい試合をしたかった。そんな試合が今年は多かった気がする。


 一年前の今ごろ、昇格目前まで自然と勝ち進んでいけた。今年は一度歯車が崩れると、巻き返す力がない。やっていることはそれほど変わっていないのに。


 勝負事は紙一重。横浜FCはチームとして仲がいい。勝てば「まとまりがある」となる。同じものが、勝てないと「なれ合い」とされる。男と女の関係と一緒だね。マメな異性がいる。恋愛対象なら「すごく気が利く、優しい人」であっても、嫌いな人なら「しつこい」に変わる。何が正しいのか、サッカーでも難しい。


 20代のころ、カズダンスをすると「けしからん」と40代の方々に叱られた。いま、得点してステップを踏んだら「カズダンス最高!」「もっと踊って」と60代の方から祝福される。同じダンスなんだけどねえ。やり続けることで重みと味が出てきたのか。ゴールとダンス、僕はどちらを期待されているのやら。