BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2013年10月25日(金)掲載

“サッカー人として”
2013年10月25日(金)掲載

ポストシーズンの熱

 日本人メジャーリーガーのなかでも、レッドソックスの上原浩治投手は特別に応援している一人だ。もみあげを長すぎるくらい伸ばしていたときがあったでしょう。あれが格好良くて。


 ポストシーズンの熱投。テレビ越しでも上原投手の緊張感が伝わってくる。抑えれば天国、ダメなら戦犯。この一球で出し切る、その連続だ。選手一人ひとりの必死さ、一球一球への集中力が、手に取るようで。


 野球もサッカーも、これからが盛り上がる最終幕。プレーする人、観戦する人、みんなが「ここで負ければ終わり」の感覚になってくる。関わる人全ての意識が一つの方向へと向かう。それが特別な場、緊張感を作る。


 国内でワールドカップ(W杯)予選を迎えるときできるのも、そんな空気。欧州遠征の親善試合ではそこまでにはならないから、選手には難しい。紅白戦、練習試合、本番、W杯予選。それぞれに全く別物でもある。先日の代表戦は、その点も考慮に入れてほしい。


 「W杯に出場できない国に日本は1点も取れず連敗した」といわれる。ではセルビアもベラルーシも日本より弱いか。そんなわけない。日本よりサッカーの歴史が長く、その文化が根付き、フランスやクロアチアでさえ苦しむ予選を戦う地域の国ですよ。一人ひとりをよく見れば、日本代表の一人ひとりよりいいクラブでプレーしている。日本が負けても、欧州に驚きはない。


 「つまんなかったですね。中継、消そうかと思った」。横浜FCの同僚が言うので、僕は意地悪になった。「じゃあ横浜FCの試合はそんなに面白いか? 俺たち、もっとつまんないと思われているかもしれないぞ。俺たちもチャンネルを変えられかねない。そう考えてみたこと、あるか」。


 欧州チャンピオンズリーグ決勝がドイツ対決になるや「これからはリーガ(スペイン)やプレミアリーグ(イングランド)ではなく、ドイツの時代」という。上原投手らクローザーは「先発ができない投手が回るものだろ」という人も。説明としては明快かもしれないけど、浅はかだよ。スポーツを語る観点の浅さ・深さが、結局、その国のスポーツ文化と歴史の薄さ・厚みでもあると思う。


 と、感じながら見ていたら、レッドソックス幹部が「格安で獲得したのにこんなに活躍してくれて」と語っている。その格安、4億数千万円。桁が違うねえ。