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これまでのプロ生活で何人の監督とチームを共にしただろう。30人くらいかな。上司が30回も代わる会社員、なかなかいないよね。
横浜FCは今季3試合で監督が交代、ガンバ大阪も監督が解任された。この世界は厳しい。どんなにいい戦術でいい練習をしても、勝たなければ良い戦術・練習とはいえなくなる。僕からすればガンバ大阪は悪いサッカーでもなく、たまたま点が入らず負けていたように見えたけど、3週間勝てず監督がクビになってしまった。
新しい監督になってやり方がガラリと変わり、連勝し始めたとする。となると前監督の下で過ごしたキャンプや準備期間は一体何だったんだろう。試合直前にチームをつくっても結果は出ると勘違いしそうだよ。内容が悪くても、勝てていれば「勝たせる指揮官」かもしれない。何が正しいのかと問われると、分からないというのが僕も正直なところ。正しいと言い切るには勝つしかないんだろう。
でもね、サッカーでの成功とは、最終的には「勝ち負け」とは違うと思うんだ。成功した、結果を出せたというのは人が判断することで、自分が決めることじゃないでしょう? 試合も自分一人では勝てない。相手があり、その日の調子、運もある。でも成功と成長は別だから。成長したいという気持ちは誰にも邪魔できない。それに自分だけでも成長はできる。そりゃあ邪魔する人はいるかもしれないよ、でもそれはプラスにとらえればいい話で。
選手には頭と体の「帳尻」が合わなくなる難しい時期がある。それまでできたプレーが少しできなくなるときだ。でもそこで練習を年齢とともにうまく変化させると、帳尻はまたついてくる。どんな状況だろうが常に100%で――。岸野靖之前監督の下で磨きがかかったことだ。そして山口素弘新監督になり、自分がこの人とどう成長できるかを考えている。今日負けたからダメ、今日勝ったからOK、じゃない。人間として成長したいから、やる。
「成功は約束されていないが、成長は(本人次第で)約束される」。日本代表のザッケローニ監督はいいことを言うね。成長するんだという信念を抱き続ける人に青春は訪れる。成功よりも成長したいとの気概でことにあたる人たちが、ずっと青春を生きるんじゃないかな。