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今季のJ2は栃木SCや徳島ヴォルティスが頑張って昇格を争い、経費の規模なら最下位かもしれないギラヴァンツ北九州も上位にいる。資金はふんだんに使った横浜FCはいま、17位だ。
予想に反し低迷するチームからはこんな言葉をよく聞く。「こんな順位にいるべきチームじゃない。僕らはこんな実力じゃない」。違う、それが実力なんだ。
J1だと浦和レッズがそうなのかもしれない。日本代表がいる、外国人FWもいる、過去の実績もある。「こんなはずは」、その発想が落とし穴になる。順位表は正直だ。16位の現状が組織の力であって、今から急浮上は難しいだろう。同じことが横浜FCにもいえる。
昨年の今ごろ、J1にいたFC東京の試合を目にした僕は正直、「このチームは降格するな」と思った。あの時に対戦したなら横浜FCが勝ったと思うよ。今はもう、はっきりした力の差が出てしまうんだけど。
結局、駄目になっていくときはどこかが生ぬるくなっていくんだろう。五輪を経験した選手がいる、名前の知られた選手もいる、サポーターも多い、たとえ負けても「君たちはもっとできる」と甘やかされる。FC東京に属していた人たちは、そんな環境に慣れ、自分たちが甘えたのだと思う。
「今のこれが実力」と目の前の現実をみつめ、その実力を少しでも向上するにはどうすべきかに目を向けた方がいい。横浜FCで言えば一試合一試合、力をつけ、内容を少しでも良くすることだ。「6位を目指す」「残り試合を全勝する」と声をかけるよりも。
一つ、クラブとしてしっかりしたものを作る。毎日毎日、一個一個つなげるため、自分たちがどんなサッカーをやりたいのかの方向性をクラブとして示し、やり続ける。序盤戦ならともかく、30試合以上終えた今、僕らは組織として弱かったと結論せざるを得ない。ピッチ上の選手に加え、クラブに身を置く人間全員が勝利へ一つにならないとプロの世界では勝ち続けられない。
横浜FCは天皇杯で日本フットボールリーグ(JFL)の松本山雅に負けた。リーグ戦で最下位のFC岐阜にも負けた。先日なんて横浜FCユースにも負けた。そりゃあ名門サントスだってジュニアに負けることはある。でも、ちゃんとやらないと、さらに惨めな状況へ落ちる。
試合で1点入れられてから、組織が危機に陥ってから、目を覚ますのでは遅いんだ。サッカーは怖いもので、勘違いしていちゃ危ないんだよ。