BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2011年09月23日(金)掲載

“サッカー人として”
2011年09月23日(金)掲載

質の大切さを学ぶ

 失礼な話なんですけど、僕はミーティングで監督の話をほとんど聞いていない人でした。柏レイソルのネルシーニョ監督について「ヴェルディ川崎の監督のころは何を語っていたの」とよく聞かれるんだけど、何も答えられないくらい、記憶になくて。でも同僚だった人たちは「カズは(指示通り)ちゃんと守備でも走ってたよ」と言う。考えるより体で覚えていたんだろうね。


 「最初からトップスピードに乗るな。ゆっくりからビュッと出た方が、相手は引っかかるぞ」。20年前に教わった「緩急」の意味、いまようやく分かってきました。9月19日(2011年)のJ1大宮アルディージャとの練習試合、僕は緩急でDFを抜いていた。それは昔の自分にはなかったドリブル。サイドのMFには相手をじらすような「タメ」が重要なのも分かってきた。大宮の選手にわざと近寄らせ、球を出し、プレスをかいくぐる。僕がタメをつくることでチームにリズムも生まれる。いぶし銀の「間の取り方」、つかめてきたね。


 その練習試合は4-3で勝利、でも前日は東京ヴェルディに2-7と大敗。どの日からも学ぶことがある。大宮戦はガチャガチャと格闘技みたいなサッカーにならず、相手に簡単に球を渡さないサッカーができた。では7失点の9月18日は何が違ったのか。技術を生かせなかったんだ。苦しい状況だと技術を出せず、前へ上へ蹴ってしまう。横浜FCの「質」の現状かもしれない。


 ボール欲しさに動きすぎるとボールに触れず、動かないでいるとパスをよく受けられるのは多々あること。球を持たないときの動き一つにも質が問われるんだ。でも、日本人は「量」に走りがちになる。量を稼いで安心し、「千本もダッシュをした」と数字に支えられれば満足するような。


 若いときは量をこなしたことが自信になり、時間と量を費やしただけ得るものがある。でも10代や20代のころとは違う自分になり、根性や体力一辺倒で通せなくなったとき、人は考えるようになる。質の大切さに気づく。量を増やすことは目に見えるからやりやすさがあるけれど、質を高めるのは単純でなく難しい。


 こんな風に発見の毎日ですが、知らないものを残しておくのも成長するには大事かなと。サッカーをあまり知りすぎないよう、考えすぎず、考えていきます。