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ディフェンスラインにバレージとコスタクルタがいて、FWにはパパンとマッサーロ……。先月31日(2011年8月31日)の東日本大震災の慈善試合で来日したACミランのOBチームは、1993年のトヨタカップで来日したときの主力がずらりとそろっていた。JリーグOBチームに特別枠で加わった僕も、何だかトヨタカップに出ているような感じがして楽しかった。
今はイタリアといえば長友佑都選手のいるインテル・ミラノの印象が強いかもしれないけれど、僕の中では今もミランが王者のイメージだ。ジェノア在籍時にリーグ戦のホームで対戦したとき、終了間際に追いつかれて勝ちを逃したことがあった。それでも監督が「ミランだから仕方ない。ヤツらは世界一だからな」と認めていたくらいだしね。
51歳のバレージを筆頭にみんな年をとってスピードや体力は落ちたけれど、技術や賢さは全然変わっていない。マッサーロもパスの受け方は当時と同じで、もし体が若くて絞れていたらボールに足が届いたんだろうな、という動き出しを見せていた。当時最先端だったミランのゾーンプレスから受けた衝撃を観客も覚えていたんだろう。バレージがラインをきれいにそろえながら下がっていく姿を見ただけで沸いていた。
向こうの方が組織力もあって大人のサッカーだったけれど、結果は2-1でJリーグOBの勝利。水沼貴史さんは「ミランに勝つことなんてそうそうないぞ」と言っていた。確かに僕はジェノア時代を含めて5、6度対戦経験があるけれど、今回が“初勝利”だ。
決勝点は試合終了間際に僕が左サイドで「エラシコ」(足の外側で出してすぐ内側へ切り返すフェイント)を決めて、狭いスペースを縦に抜けて上げたクロスをキーちゃん(北沢豪)が決めたもの。イタリアにいた17年前にもあんな場面でエラシコをやる勇気があったらなあ。それだけ僕も経験を積んで余裕ができたんだね。
今回、日本の支援のために来てくれたミランOBは世界のサッカー大使みたいなもの。彼らが世界で貢献しているように、僕らもアジアで同じ役割を担えたら素晴らしい。韓国で洪明甫(ホンミョンボ)ら韓国代表OBと対戦すれば喜んでもらえるはず。僕は現役なんで、そのときはまた特別枠で参加させてもらいます。