©Hattrick
「(10点満点の)5・5点。低いなあ」。先日、同僚がサッカー専門誌の採点に嘆いていたので、僕は応じた。「おれなんてブラジルで2点をつけられたよ」。
あれはデビューしたてのころ。だいたい最低評価でも4点台なのに、2点。そして採点に続く寸評が「彼は早く荷物をまとめて日本に帰るべきだ」。嫌みに近くて、次にプレーするのが怖くなったものね。でも、それを乗り越えた時は二回りほどレベルが上がっていた。ある段階で、批判も褒められることもすべて背負えるようになる。
誰でもたたかれるのは嫌だ。でも批判を受けていたかいないかで、逆境の時に乗り越える強さが変わってくる。選手はミスを指摘されて「もうしない」と改めて意識する。批判から学べるか。悔しさを思い知り、もまれた選手は強い。
あいまいさは日本文化の良さとはいえ、メディアは聞きたいことをもっとはっきり聞いていいと思う。僕は最近、横浜FCで出場できていない。年齢を踏まえ、引退について尋ねたい記者はいるだろうし、聞きたいのが透けて見える時もある。しかし質問は「最近、どうですか?」。率直に「引退は考えますか」と聞いてくれれば、こちらも「全く考えません」と答えやすい。互いにプロなのだからサッカーに関することはキッパリ言い合いたいね。
まあ、選手は結果を出せば何も言われず、出さなければサッカーと直接関係のない私生活まで悪いように言われるもの。それも肥やしにするしかない。誰も見てくれなくなったら僕らの商売は寂しいよ。サッカー以外で人の興味を引くぐらいでいい。「また女の子と飯を食ってる。うらやましいけど文句も言いたいね」という風に。サッカーに詳しくない人々にも関心を持たれないと、サッカー界も盛り上がらない。
経験から言えば、いいことしか言われない時期は「まだまだ」なんです。悪いことも言われて初めて一流に近づく。それを超えてこそ超一流じゃないかな。
テレビで眺めて「日本代表、いまいちだね」と言うのは簡単だ。実際に6万人にみつめられるピッチで代表として何度もプレーすれば、いかに難しいかが分かる。言うよりも言われる方がいいよ。僕は何かと言われていたいね、ずっと。