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横浜FCは開幕から14戦で1勝しかできていない。こんな勝率は経験がない。自分に腹が立つし、プロとしてのプライドも許さない。もちろん負けでも内容の悪くない試合もあった。しかし、内容では相手を上回っても、勝ちきれない試合を続けてしまっている。
10日(2009年5月10日)の栃木SC戦。0-2から1点返し、逆転できそうな展開でも、ホームで同点にできなかった。流れ、運、実力のすべてが、今はネガティブな方向に向かっている。勝てないチームは「何でこれが入るんだ」というゴールを割られたりもする。でも、それは起きるべくして起きているものなんだ。
現状は許されるものではない。しかし大事なのは悩むことでもおびえることでもない。上に上がるしかないからマイナスのプレッシャーを感じる必要もない。何位になると考えるより全力を尽くす。それを全身で示す。その原点に行き着くと思う。そしてスポーツなのだから楽しまないと。
サッカーはディテールにこだわるスポーツだ。縦105メートルに横68メートルと広いピッチで30センチほどがものをいう。パスやトラップ、相手への寄せのわずか30センチのずれで結果は180度違ってくる。この細かな部分の差が出ていると感じているんだ。
栃木戦の後、マンチェスター・ユナイテッドの試合を見た。すごいのはペナルティーエリアの守り方、攻め方だ。相手にずっと攻めさせながらも、最後のエリアは攻め込ませない。あんなにゆとりを持って守れるものではないので、それだけ高等技術なんだ。そして攻める時には刺すがごとく点を取る。狭い空間でも、時に華麗に時にシンプルに、一発で攻め切ってしまう。
30センチの世界で求められるイマジネーションにインテリジェンス、規律と余裕……。往年のヴェルディ川崎にはすべてがあった。「あうんの呼吸」でみんな自然に動いていた。
サッカーには技術と戦術があり、そして文化という要素がある。ペナルティーエリアでもそれが出るんだろう。「勝負どころまでは流していても、最後は決めるよ」というのが欧米型。日本のチームはハーフライン辺りでは良いのだけれど、肝心な所で体と発想が硬くなるというか。日本人は大事なところで遠慮しちゃう国民性が出るのかもしれないね。