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こう言うと何ですけれども、バーレーン代表は好チームだったけれども、今の日本代表が相手だと「大人と子ども」の戦いにみえた。横綱のように寄り切ってしまう。
アジアの最終予選で7-0や5-0といったスコアは、本来尋常でないし、他のグループを見渡してもそうは見かけない。日本の突出ぶりは数字にも表れている。
代表の歴史において今回の最終予選ほど、継続の力が認められる例はないんじゃなかろうか。
ワールドカップ(W杯)カタール大会でドイツ、スペインに勝った。負けはしたけれども、クロアチアとPK戦にまでもつれる接戦に持ち込んだ。翌年にはドイツに相手ホームで快勝もした。そうした自信を、チームとして2年近くたっても持ち続けられている。熟している。
これまでならW杯や予選のたびに監督が変わり、選手の顔ぶれもサッカーのやり方もリセットされることが多かった。これほど過去の経験を生かせて、つなげられている代表は初めての気がする。
森保一監督も選手も「W杯で優勝を」と公言している。日本がアジアで頭一つ抜け、よきステップアップの流れに乗れているとして、とはいえ「優勝」となると別の話では、という反応もあるかもしれない。
90年にも及ぶW杯の歴史において、優勝できた国は8つしかない。この「G8」のほとんどが20歳以下などアンダーカテゴリーのW杯でも優勝実績を持つ。日本は五輪も含めて年代別のW杯でも頂点に立ったことがない。世界一の要件めいたものを考えだしたら、否定の材料なら色々浮かぶ。
欧州ネーションズリーグや南米予選を見ているとそのレベルの高さに目を見張る。このレベルの相手を1回ではなく、4回ほども倒さなければ優勝の山は登り切れないのかと我に返れば、気が遠くもなる。
でも、W杯は一番強いチームが優勝してきたわけじゃない。前回大会の覇者アルゼンチンにしても、メッシは世界最強の選手だったかもしれないけれど、隙のない最強チームだったわけでもない。サウジアラビアに敗れるなどしながら、大会を通じて強者になっていった。
最強が優勝するとしたら、「バロンドール」受賞に至る選手が3人もいた2006年のブラジル代表なんて優勝してしかるべきだった。これはチャンスと解釈できるし、そして日本は、やってみなければ分からないという可能性を感じさせるだけのレベルに十分にある。難しいは難しいよ、でもそれだけにやりがいだってある。
子どものころ、陸上400メートルリレーで日本が銀メダルを取るなど想像すらできなかった。100メートルでの金メダルは遠き夢でも、「×4」となれば銀メダルまで来たわけだから。「×11」であれば可能性は膨らむと思うんだ。
あえて夢を口にすることは、覚悟の表れ。「目標はベスト8」と言っているうちはベスト8にはたどり着けず、もっと高い地平に目線を定めて初めて、8強、4強、2強へと分け入っていける。そういうものだと思っている。
目標は高く掲げるもの。プレッシャーはのしかかるだろう。そのプレッシャーを背負いながら戦えてこそ、日本代表。それがない代表なんて、そんなに強くないですよ。