BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2007年10月05日(金)掲載

“サッカー人として”
2007年10月05日(金)掲載

選手の事情、経営の事情

 先月のリーグ戦でメンバーを大きく変更した川崎フロンターレがリーグ側から批判されている。前後にあったアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)と8人を入れ替えて柏レイソルと戦ったことが問題になった。規則違反ではないけれど、ベストメンバーで戦う精神に反するという。


 一つ確かなのは、負けようと思って選手を選ぶ監督はいないということ。その時点でベストな選手を使うのは当たり前で、先週の先発メンバーが次はベンチに入れないこともあり得る。川崎は週末のJリーグの後にイランに移動、標高1500メートル超の高地で水曜日にACLを戦い、帰国して再び中3日での試合だった。さらに次のACLが3日後に控える強行日程だし、日本代表の中村憲剛選手は余計に疲労がたまっている。僕もACLをテレビ観戦したけれど、みんなクタクタだった。それなのに「帰国用にチャーター機まで用意したんだから主力をJリーグにも出せ」という意見は、サッカーの厳しさをわかってくれていないと感じた。宿泊環境、空気の薄さ、宗教も違う国を往復する連戦がどれだけきついことか。


 川崎の側に立てば、やむを得ない状況だったと誰もが納得するはず。Jリーグ幹部は「サポーターへの裏切りだ」と怒ったらしいけれど、これは出場した選手への侮辱だ。彼らは同じチームの戦力なんだから。僕自身、ブラジルで同じ経験がある。サントスが先発を半分以上入れ替えて臨んだ試合、それが僕のチームでのデビュー戦だったんだ。


 開幕前のキャンプから、選手はみんな試合に出るために努力している。レギュラーは11人だけじゃない。平等にチャンスはあるという監督の言葉でモチベーションを保ち、それでもなかなか出番に恵まれなくて、やっと巡ってきた出場機会。そこで「何で補欠が出るんだ」みたいに非難されたら、僕なら黙っていられない。プロとして「オレをバカにするな」と言う。


 もちろん、これは選手としての考え方で、Jリーグやサッカー協会の人たちは違う立場で営業面を考えないといけない。スポンサーにすれば、日本代表などの有名選手に出てほしいと思うのも当然。意見をぶつけ合って、コミュニケーションを深めるしかないね。