BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2007年09月07日(金)掲載

“サッカー人として”
2007年09月07日(金)掲載

監督業、厳しさと魅力

 高木琢也監督が解任された。黒星が続く悪い流れを変えるために、クラブとしては仕方がない部分もあるんだろう。選手を全員入れ替えるなんてできないから、何を変えるかといえば、監督を交代させることになる。


 選手は皆が責任を感じているし、僕らベテランは余計にそうだ。ただ、こういう事態には慣れている面もある。イタリアのジェノア時代や2年前のヴィッセル神戸では、一年で2度の監督交代があったし、今までに何度も経験してきたことだから。


 選手の場合も、来年の自分がどこでどうなっているか分からないという厳しさがある。それ以上にシビアなのが監督で、2年契約でも5連敗すれば解任騒動が起きたりする。世界的なクラブはもっと極端で、レアル・マドリードのカペッロ監督は優勝しても解任されてしまったくらいだ。


 それも仕事の一部だと腹をくくって、契約書にサインする。解雇されること、メディアやサポーターから批判されることを覚悟して。企業や組織のトップの人たちも似たようなものだろう。自分一人が悪いわけではなくても、問題が起きれば責任を取らねばならない。それを承知の上でトップに立つわけだから。


 それに権力の座についた人が、そう簡単に辞めないように、自分から投げ出す人は少ない。アーセナルのベンゲル監督が「監督業は麻薬だ」と言った通り、苦い経験をしてもまたやりたくなる魅力があるらしい。


 監督の指導法も国によって違う。横浜FCのジュリオレアル新監督はブラジル人らしく、練習メニューは実戦的だ。11対11の紅白戦が多くて、日本でよくやる3対3などはやらない。状況別の練習はどちらかというと欧州式なんだろう。


 音楽に例えると、欧州のサッカーはオーケストラ型で、指揮者やパートがきっちり決まった組織的な感じだ。それに対してブラジルはジャズやサンバのように即興的。いろんなものをミックスして、本番の中から何かが生まれる。


 オーケストラのように楽譜通り進めていくものはまねしやすいけれど、ジャズメンのまねは難しい。分析しきれないのがブラジル、だからこそ強いのかもしれないね。そんなブラジル式の実戦練習を重ねて、何とかチームを浮上させたい。