BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2007年06月01日(金)掲載

“サッカー人として”
2007年06月01日(金)掲載

悩ましいカズダンス

 大分トリニータ戦では今季2点目でチームの勝利に貢献できたし、久々の「カズダンス」に喜んでくれた人もいたようだ。最近はゴール数も減っているから、なかなかパフォーマンスを披露する機会もないけれど、得点を決めても踊るかどうかのタイミングが意外と悩ましい。


 アウェーだと遠慮してしまうし、結果的に試合に負けてしまうと印象も良くないから、開始早々のゴールではやりにくい。逆転負けしたときは、やらなきゃ良かったと後悔もする。それにあのダンスは20代のときによくやっていたものだから、今は照れもある。


 ただ、若いころは試合状況を気にせず、勢いで踊っていた。ヴェルディ川崎時代は0-2からでも逆転する自信、自分がゴールすれば勝てるという自信があったから、前半1分のゴールでも踊っていた気がする。


 テレビ番組でヤンキースの松井秀喜さんと一緒になったことがあった。プロ野球の世界では相手チームへの敬意から、ホームランを打ってもあまり喜んではいけないらしい。それに引きかえ、僕はダンスまでやっちゃってスミマセンと苦笑した。松井さんはサッカーと野球では1点の重みが違うから喜びが大きいんだろう、とフォローしてくれた。


 確かにサッカーは90分間で決定的なチャンスは少ないし、1点も入らない試合もある。まだか、まだかとみんなが待っているから、ゴールの瞬間にベンチとの一体感、ウオーという熱狂が爆発するんだろう。ゴールには流れが大きく影響するので、一つのゴールをきっかけに続けて取れたりする。肩の荷が下りて自信と余裕を持てる。


 僕の場合、今年は主にサイドMFをやっていたからそういう重圧はなかったけれど、FWで出場した最近のリーグ3試合で2ゴールだから流れはいいよね。


 ゴールにしてもダンスにしても、見に来てくれた人たちが喜んでくれることが一番うれしい。いいものを見たなと気分良く帰ってくれて、その話題を肴(さかな)に一杯飲みにいってくれるような。


 プロ野球の王貞治さんや長嶋茂雄さんのエピソードが酒の席や電車の中で語られるように、世間話にサッカーが入り込む。そうなることを目標にこれからも頑張っていきたい。