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サンフレッチェ広島戦での今季初ゴールの後の反響はすごかった。知人に会いに神戸に立ち寄って、翌日に東京に戻るまでの間にタクシーに乗るときや新幹線の切符を買うとき、あらゆる場所でみんなが「おめでとうございます」と祝福してくれる。
ゴール自体もきれいな形で、チームメートはラテン語系の言葉で素晴らしいゴールという意味の「ゴラッソ」だと言ってくれた。僕は日本人最年長ゴールという数字的なものが重要とは思わないし、どんな形のゴールでも1点は1点。それでも、みんなが期待してくれていた40代での初得点が美しいものだったというのは悪くない気分だ。
その3日前のナビスコカップのFC東京戦でウチらしく1-0で競り勝っていて、連勝で自信をつけたいという大事な一戦でもあった。そこで難波(宏明)と僕、FW二人が1点ずつ取ったことも意味がある。これまでチームで2点以上奪った試合は一度もなくて、完封負けが多かった。それに野球でクリーンアップが打つのに似て、FWの得点はチームを勢いに乗せるからね。
ゴールの時間も前半終了間際で、2点差になって相手がガクッときているのもわかった。ハーフタイム、「0点に抑えるぞ」「粘っこくいくぞ」と声を掛け合うみんなの顔つきが連敗中とは全然違う。話す内容は今までと変わりないけれど、表情に不安がないし背筋がぴんと伸びた感じ。チームにとって大きな勝利、大きなゴールだった。
この2試合、今までリーグ戦に出られなかった選手たちが先発で貢献した。ナビスコカップしか出番がなかった彼らに、僕は「ナビスコも立派な公式戦だし、勝てばカネ(勝利給)だってもらえる。おまえたちは代役じゃない。プライドを持てよ」と言い続けてきた。
彼ら自身も、連敗続きのチームを歯がゆく思っていたという。ピッチの外から見ていたからこそ気付いたこともあるだろうし、自分が試合に出たときにやるべきことも理解していた。
もちろん外された選手はコンチクショウと思って、ポジションを取り返そうと頑張るはず。勝っていればそんな競争心がどんどんあおられて、良い方向に転がっていく。やっぱり勝利は何回味わっても慣れることがない。本当にいいものだ。