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吹き抜ける風は冷たく、踏みしめる芝生もまだ硬い。グラウンドでのそんな感触で、また新たなシーズンを迎えつつあることに気付く。
今年も同じように選手であり続けられることの喜び。チームの輪にいられる感慨。改めて言葉にするのは少し照れくさい。新しいキャッチフレーズでも考えつけば様になるけど、ここは気負わず、普通に、次なる1年へ走り出しています。
プロ34年目は、少し「やり込めていない」のが正直なところ。1月はグアムでこれまでで一番長く、24日間も自主トレに励んだ。だけど練習の量としてはまだやり残した感じ。開幕までにもう一回、フィジカルな負荷をかけたいくらいだ。
でも、この程よい疲れ方がいいのかもしれない。コンディションだけでみると昨季開幕前は心身ともに近年で最高。ただ、疲れが抜けない状態だった一昨年の方が50歳で開幕スタメンを果たせている。調整法なるものは、これが正解だと言い切れなくて。
シドニー五輪に向けた日本代表が始動した1998年11月。トルシエ監督は試合に向けた合宿で紅白戦もほとんどせず、ひたすら動き方の反復練習しかしなかったという。対戦するのは強豪、21歳以下のアルゼンチン代表。実戦形式が少ないだけに、選手らは不安でしょうがなかったらしい。
ふたを開けてみると1-0。練習でのパターンがありありと出て、めざましい出来栄えだった。しっかりしたコンセプトを信じ切れる人間は強いのだろう。僕も自分がこだわるものを、信じてやり続けていくよ。
J2で3位になった昨季からの流れが横浜FCにはある。戦い方も選手起用も大きくは変わっていない。そこで自分がどう生きていくか。何より、自分のコンディションを常にいい状態に合わせておくこと。この1年、そのことで頭の中は埋め尽くされるんだろう。
昔も今も「90分間」を基準にサッカーを考えてきた。それだけプレーをしないと測れないものがあるからだ。「70分からでも技術がぶれなかったな」「途中で疲れを感じても、ラスト10分でまだ走れたな」。体力、技術、心……。45分間ではみえてこない、リアルな自分がくっきりと分かってくる。
選手である限り、90分間。難しさもあれば不安も伴うハードルを自分に課したい。選手であり続けることへの、自分なりの宣言みたいなものだと思っている。