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近年はサッカー界も「休む」ということに昔よりずっと敏感になっている。むやみに残業をするな、休み方を工夫しろ、といった世の中の傾向と同じようにね。
僕が中学生のころ、とにかく練習はたくさんすべきで、一日休めば取り返すのに三日かかると教わりもした。練習中は「水は飲むな」とも。飲みたくても水がない、足が痛かろうと戦わねばならない軍隊の精神論が、ピッチへも持ち込まれていたというか。
それがブラジルへ渡ると、チームは試合前日がまるまる休みだった。前々日も軽め、試合翌日も休み。「そんなに休むの?」と不安にもなったのだけど、若い年代では特に「使い過ぎないこと」に配慮がなされてもいた。基本思想はトップチームでもそう。
今では日本のトレーナーも、疲労にすごくフォーカスしている。疲れを残さないための処方、負荷をかけた後にどれだけ休息と栄養を取れるか。疲労を蓄積したまま練習させないようにと、常々「やり過ぎないで」と言われる。で、やり過ぎちゃうのが僕。10回と設定されれば12回、10分と言われればつい20分プレーしてしまう。
千本ノックよろしく、シュート練習なら文字通り100本打ってきた。そうした練習はウソをつかないのだけど、量ばかり求めて安心するのも良くなくてね。疲れがたまるくらいやり過ぎては、練習が逆にウソもつく。どれだけ休めば良い・悪いのかは、すぐには正解が分からないものでもあるけどね。学校も週休2日になりつつ、「脱ゆとり」で授業時間は増加傾向と聞くし。
たいてい、日々の選手の“仕事”は朝一番で始まっても昼ごろには終わる。後は帰って寝てもいいし、昼間から乾杯もできる。でもその時間は、試合へ向けた休息に充てられてもいるわけだ。じっくり体をケアする、ゆっくり食事をとる。そんな「ゆっくり」も広い意味で仕事のうち。いかに休むか、ピッチの外の時間をどう充実させるか。その質がプレーにもつながる。
週2回で試合に出続けたころは、試合が終わった時点で一度サッカーから自分を切り離したかった。流れを切り、外の世界へ出てほぐれる。「また頑張ろう」となる。当時は試合翌日は休みだったので、いうなれば夜の遊びがクールダウン。ダウンのはずが、ハードに負荷のかかった日も一夜や二夜ではないけれど。
昔はやりたいことが一日で全部できた。きつい練習や試合をこなし、夜もカラオケにディスコにと完全制覇。今はディナーならディナーと一日一つ、じっくり型で楽しんでいますね。