BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2017年04月28日(金)掲載

“サッカー人として”
2017年04月28日(金)掲載

無意味そうな会議も意味はある

 サッカークラブも何かとミーティングは多い。ブラジルでは精神科医も同席して、士気を高めたり、不安を取り除いたり、思考をポジティブにしたりする場として重視されていた。横浜FCでも、怒られても仕方ない状況で「いや、いいところもあるよ」となることもある。内容も結果も散々なFC町田ゼルビア戦の後がそうだった。逆に翌週の大勝したジェフユナイテッド千葉戦後は、浮かれ気分を戒める雰囲気がつくられる。


 おしゃべり好きなブラジルでも、みんながズバズバと意見を出し合うとは限らない。本音を明かさない選手も。「本当はこう意図したパスなんですけど、それを言い出すと会議が長くなるので」。扉を一歩出た瞬間、発言が逆になる選手もいるからね。長いミーティングは勘弁して、早く終わって、が本音のところ。


 本音を出すのは難しいよ。意見を言えば言ったで、怒る上司もいるわけで。“同意してほしい人”もいるよね。「どう思う?」と意見を求めているようで、その人と違う意見が出てくると、反発する。つまりは自分の考えの妥当さを確認したいだけという。あ、皆さんの会社でもそうですか?


 でも、そうはいってもミーティングは必要なんだ。チームはどうしても緩む。リーグ開幕前の希望や高揚も、2カ月もたてば薄れてくる。「どうせ出場できない」とあきらめる人、「俺は出られる」と慢心する人。出られなくても腐らない控え選手、出ていても危機感を失わない主力。モチベーションの濃淡だけみてもこれだけ分かれてくる。これを一丸に束ねるのは難しいよ。


 僕も含め、人間は怠ける生き物だ。できるなら寝ていたい。食べるならおいしいものがいい。疲れたくない、楽をしたい。そこのたがを締めるミーティングに意義はあるんじゃないかな。


 皆が皆、きちっとできるならいい。なぜ試合前日に夕食の時間が指定され、起床の時間を紙で張り出し、全員集合してストレッチをするのか。「やっておけよ」だけではやらない選手もいるから。できない人に合わせて、ミーティングや集団行動の規律は存在しているともいえる。そんなボトムラインに合わせるのに耐えられなくなる人もいるね。中田英寿さんなどは、何でも自分だけでできたから。


 チームを好転させるミーティングとは。覚えがないなあ。「カズ。聞いてないだろ」と怒られた記憶しか……。最近は頑張って耳を傾けるようにしています。