BOA SORTE KAZU

  • Home
  • Message
  • Profile
  • Status
  • Column
Menu

BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2007年01月26日(金)掲載

“サッカー人として”
2007年01月26日(金)掲載

譲れないイメージ

 懐かしい顔ぶれが並んでいた。21日(2007年1月21日)に日本平スタジアムで行われたノボリ(澤登正朗)の引退試合。チーム、日本サッカーのために貢献した選手を送りだそうと、清水エスパルスや元日本代表の選手たちが集まった。スタジアムにはほぼ満員の観客。選手とサポーターが一緒になって、素晴らしい雰囲気が生まれた。


 そんな場に呼んでもらえることが本当にうれしい。公式戦とは違う意味で、サッカーっていいな、という気持ちになる。ノボリが選手として最後だという寂しさはあるけれど、僕自身も楽しませてもらった。


 試合前に組んだ円陣では、ノボリのためにも、しっかりとしたプレーをしようと声をかけた。引退試合といっても、みんなが勝負にこだわる意気込みを持っていた。やっぱり元日本代表の面々は負けず嫌い。だからこそ日本のトップに立つことができたんだろう。


 参加した選手たちはサッカーの達人ばかり。引退しても、体に染みついた感覚はそう簡単には消えない。一人だけ横綱体形になっていた礒貝洋光選手も、足元にボールが来れば素晴らしい技術を披露していた。ノボリはもちろんだけれど、49歳のラモス(瑠偉)さんだって今でも現役でプレーできると僕は本気で思う。残り15分を逃げ切るぞ、という局面だったら、選手を鼓舞しながらチームに貢献できるだろう。


 ただ、その道を極めた人たち、トップランナーには自分の中に譲れないイメージがある。プロ野球の投手なら先発して完投する姿。今年、米国に渡る元巨人の桑田真澄投手も、最初から5回だけ投げればOKとは思っていないはずだ。サッカーなら90分間戦い抜くこと。15分だけでいいとは思わない。そして、そのためだと思うから苦しい練習にも耐えられる。


 僕の場合、「もうすぐ40歳だから仕方ない」と言われてしまうのが嫌だ。逆に40歳でみんながやれなかったことをやってみたい。走り込みでも、40歳には無理だろう、という量を走りきる。チームの走力テストでも常に上位に入っていたい。


 もちろん、20歳前後の選手と違って体に気をつけなければならないし、ケガをしては元も子もない。でも、ときには無理をする部分もないとね。そんな日々がとても充実しているんだ。