BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2015年07月03日(金)掲載

“サッカー人として”
2015年07月03日(金)掲載

必然の「ごっつぁん」

 前節、アウェーでの水戸戦。0-0のまま迎えた終了間際にチームメートが放ったシュートのこぼれ球に、いち早く駆け寄ったのが僕だった。ケガから2カ月ぶりの復帰戦で決めた決勝点は、ゴールを最優先に考えている今季の自分だから取れたものだ。


 2週間前の練習試合も、その前の紅白戦でも、僕はこぼれ球を蹴り込んでゴールを決めている。「なぜかカズさんのところにボールが落ちてきますね」と周りは言うけれど、これは偶然じゃない。ボールの行方を予測し、可能性を感じ、意欲をもってそこへ走り込んだからこそだ。


 人生と同じで、運がなければボールは転がってこない。でも運だけではコンスタントには決められない。水戸戦で得点の少し前に味方の直接FKが右に外れたときも、GKがはじいたりポストで跳ね返ったりしたときに備えて僕は詰めていた。その動きを観客席から見たコーチは「したたかだね。だからボールがこぼれてくるんだ」と言ってくれた。必然的に「ごっつぁんゴール」を引き寄せたんだ。


 78分に交代出場したとき考えたのは、絶対に自分が点を取るんだということ。昨季まで心がけていた周りを生かす動きや、下がってパスをさばく働きをある程度捨て、できるだけゴールの近くにとどまって得点を狙う。だから、もしノーゴールで終わったら何も仕事をしなかったということになる。それはゼロか100かという勝負。まさにストライカーの考え方だ。


 実を言うと、ストライカーと呼ばれるのは好きじゃない。若き日のブラジル時代に慣れ親しんだウイング的な仕事、チャンスメークへの思い入れが強いから。


 20代の頃はそれでもゴールを重ねられた。ドリブルで2人、3人を抜いてDFに走り勝ってゴールもできた。とはいえ、48歳の現実を認めないといけない部分もある。今の自分が持っているものでどうやってFWとして生きていくかを考えなければ。


 それに水戸では僕のゴールとカズダンスに、地元の水戸を応援しているはずのお客さんも大声援を送ってくれた。何年かに一度しか生で見られないかもしれない場面を喜んでくれる人のためにも、「職業」としてストライカーの動きを突き詰めていきたい。