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体を痛めてリハビリの日々が続いている。試合に出る前の段階、いい練習がなかなかできない。こういう我慢のときは一番つらい。それでも一喜一憂しすぎず、ネガティブにならずにやっていくしかないね。
疑惑や事件、ニュースをみながら考えたことがある。「あり得ない」と議論を呼ぶ出来事を、「こういうこともあるんだ」という角度でみてみようとする習慣が僕にはある。昨年のプロ野球日本シリーズ。一緒に見た知人が「なんで巨人はあんなに打てないんだ」と嘆いた。僕はアスリートだし、違う見方をする。「だってプロが投げてますから」。相手の楽天側もリーグを制した投手が弱点を研究して投げる。打てないのも考えられなくない、と。
サッカーの代表についてもそう。「弱い。つまらない」と言われる試合でも、「力ある選手が集まってこうだから。相手が強い」という観点で見る。あんまり一喜一憂しない。ファンがそんな風に試合をみてしまうと、一喜一憂できなくて楽しめないんだろうけど。
人間、「自分」はよく見えないんだ。横浜FCが1点差で逃げ切った某試合。「寄せられたのは分かるけど、なぜつながずに適当に蹴っちゃうんだよ」と控室で不満を述べた味方がいた。終盤に出場した僕の目には、彼自身もつながずに蹴っていたように見えてね。
ジェノアに渡った20年前、イタリア人は誰もイングランドリーグの成績など気にもしなかった。今ではイングランドの上位3チームなら日本人でも答えられるだろう。でもそれはイングランドやスペインに限ること。コロンビアやブラジルリーグの順位、言えますか?
ワールドカップ(W杯)日韓大会の年でさえ、欧州で会ったイングランド人は日本の話題になると「日本にサッカーがあるのか」といった感じだった。この20年、日本は前例がないほど進歩している。それでも自分たちが思うより、まだまだ日本を知らない人は多いよ。
日本が真ん中で、アメリカが右側、ヨーロッパが左端に並ぶおなじみの世界地図。子どものころ、日本は世界の中心だ、すごいと思っていた。あれはあくまで日本からみた位置関係。見慣れたあの地図から離れてみよう。自分の立つ位置からだけで物事をみるのは、良くないですよね。