僕がいたころのブラジルのサンパウロ州1部リーグは上位8チームでプレーオフをしていた。ライーやミューレルなど当時の名だたる代表選手も出ていた舞台。それは観客動員が減ってクラブ経営が苦しくなったための策で、しばらくするとプレーオフなしに戻りもした。100年以上の歴史があるブラジルでも、1シーズンにしたり2シーズンになったりと、制度というものはその時々で形を変える。


　1シーズン制の典型であるイタリアでもスペインでも、リーグ運営はすんなりいかないのが現実じゃないかな。スペインでは2強クラブがもたらす放映権が巨額で、2部のクラブへも分配金が5億円近く入ってくるという。J2クラブの年間予算より多そうな額で、小クラブはそれが支えという一面もあるわけでね。


　Jリーグの2シーズン制への移行には「消極的賛成」が多かったと聞く。1シーズンの方がすっきりするし、そうであれば年間で2、3位のチームが優勝決定戦で1位になることの違和感もない。あるべき形だと僕だって思う。プレーオフ導入でメディアの取り上げ方に動きが出るとしても、それが各クラブを潤すまでになるか、はっきり言って分からない。


　ただ、サポーターや選手には見えないけど、経営者の立場からは見える現実があると思う。このまま何もせずでは行き詰まる、消えるクラブが出ると、経営者には感じ取れる読みや勘があるのだろう。その道のプロが様々にリサーチし、考え抜いた決断と信じたい。僕らが考えつくことは、既に議論されているとも思うしね。


　この際だから「降格プレーオフ」も設けるのはどうかな。前期と後期の下位各2チームによる生き残り戦。落とせる試合がなくなるし、盛り上がるには盛り上がるねと仲間内では話題になった。でも前期優勝チームが後期ビリだとどうするの、制度としては難しいねという結論になったけど。


　最善はあくまで1シーズン制なわけだから、日本が本当に1シーズン制でやっていけるリーグになれるよう、みんなでがんばろうよということだね。今回の変遷も歴史として積み重ねればいい。ルールは定められる。選手はそこで全力のプレーを見せることだけを考える。見る人もそれを望んでいる。根底の原則は、2シーズン制でも3シーズン制でも変わらないわけだから。