BOA SORTE KAZU

  • Home
  • Message
  • Profile
  • Status
  • Column
Menu

BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2013年07月19日(金)掲載

“サッカー人として”
2013年07月19日(金)掲載

生き残るベテランとは

 僕も含まれるらしい「ベテラン」。でもベテランの定義って何? ベテランにもいろいろいる。変化に対応し、成長しようとするベテランでなきゃいけない。


 強いもの、優れたものが生き残るわけではない。そのときどきの状況に対応できる種が最終的に生き永らえる。それが生物の法則だと聞いた。サッカーの世界も人生も、一緒だろうね。


 僕の40代、先輩の50代、いまJリーグで中心の20代。20代には20代の歩んだプロセスがあり、それぞれ違う考え方を持っている。上の年代層の僕らは下の世代の目線まで下りて、違う価値観を理解すべきなんだ。自分の世代はサッカー史を創ってきた、とあぐらをかくようでは話にならない。「俺の時代はこうだった」。そんなもの、今日の練習には直接関係がない。トレーニング法もスポーツ医学も新しいものがどんどん生まれる。良いものならためらわず取り入れる。ネームバリューでなく、行動で示せるのが「いいベテラン」。


 長谷部誠選手(ウォルフスブルク、29歳)と会って、遠藤保仁選手(ガンバ大阪、33歳)の話題になった。「練習でも、ワールドカップ(W杯)の試合でも、いつも変わらない」。いいときと悪いときの幅がすごく小さい。脱力しすぎでは、と思いそうになるあの安定感も、経験の豊かさによるもの。経験ある選手の一声は、代表の控室やベンチでも大きな力になる。


 47歳と46歳、違いは一年でも、肉体は確実に変化する。47歳までやれたなら48歳でもできるでしょ、と考えそうだけど、そう単純じゃないよ。37歳から38歳へ移るのとは、同じ一年でも重みと難しさの次元が違う。


 僕が40歳のとき、横浜FCはJ1に昇格して「不惑でJ1」と注目されたものだった。今週、試合で再会した岡野雅行選手(ガイナーレ鳥取)はいま40歳、なお現役。なのに、どうもインパクトは薄いらしいんだ。僕がハードルを上げちゃったみたいで。


 大久保嘉人選手(川崎フロンターレ、31歳)が「40歳まで得点を取り続けたい」と言ったみたい。取れるよ、僕に言わせれば。一昔前なら「無理」でも、今は多くの選手が「40歳なら……」と思い始めている。一人が壁を超えると、次々と壁を破る者が続く。それが当然になる。そうやって進化していくんだろう。


 僕が50歳までやると、一体どうなるんだろうね。