©Hattrick
どうもサッカーの戦術には詳しくなれない。試合で相手チームの選手が交代する。「カズさん、システムが4-4-2から4-3-3に変わりましたね。マークが縦関係になりましたよ」。パッと分かる味方はそう言うのだけど、そばで僕は「なんで分かるの?」と思ってしまう。「そういう目線で見れば分かるよ」と言われ、見ようと努めもするけど、つまんなくてやめる。つい、そういう観点で考えずにサッカーを見ている。
松本山雅との試合、横浜FCが前半を1-0で折りかえした。後半、松本の反町康治監督は「横浜はサイドを起点にしていたから、3トップに変更し前からプレスをかけ、相手の攻撃の意図をつぶし、ペースを奪い返そうとした」。外から眺めていた僕は気づかない。でも横浜の山口素弘監督はその一手にちゃんと気づき、対抗策を打っている。監督というのはすごいよ。僕が監督ならあの場面、何もできないからね。「カズさんも将来は監督に」と言う人がいるけど、これは断言できます。できるわけないです。
ただ、僕はこう考えてきた。サッカーをやるうえでは、あまり難しく考えてもいけないんじゃないか。
いま挑戦中のフットサルにしても、サッカーと違った難しさはある。動き方の違いに空間の狭さ、複雑なサインプレー。それらは理解しないといけないけど、頭でっかちに意識しすぎるのもよくない。足でボールを扱うことは変わらないし、最終的にはゴールを決めること、ゴールを守ることに行き着くのも一緒。僕のなかでは想定内の違い。
「こんなにFWのステップができない人が、あんなに点を取るんだね」。かつて僕をそう評した人がいるらしい。何事も基礎が大事で、例えばFWとしての動きはしっかりしている方がいいのだけど、それだけじゃないときがある。教科書通りでは対応できない状況。そこが面白いんだ。
フットサル界の人から見れば、できていないと映るプレーもまだあるだろう。でも15歳のころブラジルで一年以上フットサルもやっていたから、なんだかんだいって体が要領を覚えている。難しく考え出すと本当に物事は難しくなりがち。僕は鈍感なんで、難しく考えない。「自分はやれる」。この思いを大事にひたすらやっているだけなんで。