BOA SORTE KAZU

  • Home
  • Message
  • Profile
  • Status
  • Column
Menu

BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2012年08月17日(金)掲載

“サッカー人として”
2012年08月17日(金)掲載

差が縮まりゆく時代に

 「五輪で男子サッカーが44年ぶり4強」。確かに事実だけど、44年にことさら注目するのはどうなのかな。比べて語るのは無理があるよ。


 昔の五輪はプロが出ちゃいけなかった。国によってはトップチームを送り出せなかったかもしれない。原則23歳以下と条件がついた1992年バルセロナ大会からは新しい大会になったといえるほど。状況も基準も変わったのだし、別の価値を認めた方がいいんじゃないかな。


 僕が感心したのは今回の五輪代表のコンディションの良さ。日本にJリーグができて20年、コンディションを上げ下げするルーティンの日々を選手もスタッフも積んできた。集団としてピークを合わせるのは難しい作業なのだけど、日本は「本番への持っていき方」がうまくなったね。


 よく日本は強くなったともいわれる。でもホンジュラスもモロッコも、どの国だって強くなっている。どこが勝ってもおかしくなく、日本が1次リーグで敗退してもおかしくなかった。戦った選手たち本人が最も感じたと思う。勝利は紙一重だと。


 裏を返せば「日本も決勝まで進んでブラジルに勝つチャンスがある」と僕は見ていて感じた。今回のブラジルはスキもあったから。エジプトから先に3点取って、2点を取られる。本当に強いチームなら3-0で終えられる。若いブラジル選手にそう話すと、さらりと「先に3点入れたから油断したんだよ」。だから言っておきました。「そういう油断がよくないの。君も」。まだサッカーの怖さを十分味わっていないんだろう。


 「日本の野球はだいぶ変わりました」と元プロ野球選手の仁志敏久さんが教えてくれた。大リーグが身近になり、投手の投げる球種や技術は大きく影響を受けた。たぶんサッカーも同じ。どこででも、世界のあらゆるサッカーを間近で見られて、取り込みやすくなった。今の子どもたちのトラップやボールの蹴り方は僕らのころとはだいぶ違う。


 でも昔が劣り、現在が優れているというわけじゃない。ロマーリオが「ペレの時代なら、俺は2,000点取れた」と豪語したことがある。昔は今ほど守備が厳しくなかったから。するとメディアは「ペレが今の時代にいたら、3,000点は入れられるよ」。現代のトレーニングや体調管理の知見・技術があれば、キング・ペレはもっとすごかったと。