BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2011年05月20日(金)掲載

“サッカー人として”
2011年05月20日(金)掲載

コパ・アメリカに行けたなら

 コパ・アメリカ(南米選手権)――。それは僕にとって夢の夢、そのまた夢くらいの憧れの大会だった。1987年アルゼンチン大会、この目でマラドーナのすごさを目撃し、感動したのを覚えている。右サイドを駆け上がり、ラボーナ(軸足の後ろから蹴り足を出して蹴る技)で絶品の左足クロス。やることなすこと、とにかく格好良かった。


 南米で戦うときの南米勢は普段と別物になる。何よりもサッカーが文化として根付き、道ばたまで満ちているあの空気。試しに現地で「コパ・アメリカを見に来ました」とその辺の人に尋ねてみるといい。うるさいくらい、延々とサッカーのことを話し続けるよ。


 だから1999年に日本代表が出場できたときはうらやましかった。今回(2011年アルゼンチン大会)の招待、海外組の招集が難航し、J1チームから選べる人数も限られるという噂だったので、これは僕にもチャンスが回ってくるかと思っていたんだけど。さすがにJ2の下位チームで補欠に甘んじているようじゃあ、選んでもらえないね。いくら慈善試合でゴールしても。残念。


 ともかく、南米選手権はレベルもすごく高いから、日本には厳しい大会になったはずで、いい流れの代表にどのくらい力があるのかを見定められる場所だった。選手のサッカー観を変えてしまう舞台。2014年ワールドカップ(W杯)がブラジルという点で、強化としても最適だっただろう。ただし今回はカレンダーとの兼ね合いや大震災の影響など、すべてが悪い方向に出てしまった。辞退もやむを得ないのだろうね。


 将来を見据えて若手で代表を組む手もあるけど、すると代表の敷居が低くなる気もする。「代表」が一気に増えるわけだから。代表ではないけれど、代表に選ばれておかしくないJ1の選手なら「俺たちがいるじゃないか」と思うはずだ。将来性も何も、「今、俺の力と実績を選んでくれ」と。僕もそう思うもの。「出せない」と言うのはクラブ、選手は「行きたい」んだ。喜んで行きますよ、僕だって。アルゼンチンでマラドーナに会いたいです。


 彼はアラブ首長国連邦(UAE)のクラブで監督になるらしい。僕を呼んでくれないかな。その場面でそんなことができるか、という点でマラドーナは「変態」だと思うんだ。変態である僕をうまく扱えるのは変態しかいない……。これが僕の持論ですから。