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成績の全く振るわない一年が終わった。昇格を目標としていた横浜FCは、早々と昇格争いから脱落。そこからモチベーションを上げていくのは大変なことだった。順位が上なら自然と上がるものを、半ば無理やり上げて維持する。それでもピッチの上では、キャンプから最終戦までずっと高い士気は変わらなかった。
でも、それだけではプロとして認められない。他チームと比べて練習環境や資金で恵まれながら、51戦で負けが29。この悔しさ、恥ずかしさを一人ひとりが考えるしかない。僕自身も出だしは調子が良かったのだけれど、9月のケガもあり、出番が減ってとても残念な年になってしまった。ただ、ケガの身になったらどうするか、試合に出られないなかでもどう自分を整えていくか、新たに発見できたこともある。この経験を来季に生かしていくよ。
話は変わり、イタリアの名選手、ロベルト・バッジョはACミランに加入してクラブハウスに来るや「ここが世界一である理由が分かった」と語ったという。練習場やクラブがまとう空気が、そこが名門かどうかを物語る。11月に練習試合で鹿島に出向いたとき、僕もそんなことを感じた。スタメンから外れた選手による試合でも、鹿島アントラーズの面々の「試合に出たい」というハングリーさは、同じ練習試合をした浦和レッズとは違っていた。
リラックスゲームでも遊びでもじゃんけんでも、「勝負がかかれば何であれ負けるな」というジーコの精神が見て取れる。偉大な選手が何かをもたらしても、本人が去れば一緒になくなることは多いもの。鹿島だけは継承し、ぶれず、ブラジルのスタイルを貫いている。いま日本で名門と呼べるのは鹿島だけだろう。
そんな鹿島に胸を借りたように、僕らもどんどん強いチームと練習試合をしたいね。道場破りを挑むみたいに。「負けて自信を失う」「選手がつぶれる」と心配する人もいるけれど。
もしつぶれたら? それはそこまでの選手、とブラジル育ちの僕は考える。真の一流はつぶれない。強いハートや自分を信じることで乗り越える。緊張感があればケガもしない。この世界、技術はそれほど差がなかったりもするんだ。一流や名門との差は、そっちの差かもしれないね。
これからオフ。2月にこのコラムでまた会いましょう。