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欧州の各リーグが開幕した。注目は「新銀河系」といわれるレアル・マドリードだろうか。中村俊輔君もスペインで頑張っているね。
日本と欧州では当然、文化が違う。移籍のさせ方ひとつとっても欧州で選手をタダ扱いすることは、まずない。契約時にゼロ提示をして移籍を促すにしろ、表で裏で必ずお金の流れが発生するように考える。何らかのビジネスを成り立たせようとするんだ。
日本はそこまで市場が出来ていないから、十数人をタダでクビにしたりする。プロがお金のことで遠慮したり、チームを去るのを申し訳ないと感じたりするのも、世界的にみれば珍しいよ。ビッグクラブがお金で選手を集めるのは悪いことでも汚いことでもないし、むしろ夢がある気がする。
日本の選手も送り出す人々も、海外移籍には数年前に慣れたと思う。でもまだその時は、受け入れる欧州の側が日本に慣れていなかったんじゃないかな。あちらからすれば日本は色々な意味で遠い所で、僕らが想像する以上に認知度は低い。僕も移籍先のクロアチアで、いかに日本が知られてないかを実感した。
今や韓国の朴智星(パクチソン)が欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝で先発し、オランダで本田圭佑選手が活躍している。情報や人が国を超えて飛び交う世の中の流れに沿って、アジアの選手の見られ方もだいぶ変わったね。
なのに、いまだに日本人は現地で「ナカムラは通用しますか」と伺いがちだ。日本人選手がそんな位置にいる時代じゃないし、CLにも出た力量の選手に「通用」はないでしょう。なじむかどうか、合うのかという観点で問われるべきだよね。
日本は心配性でいけないね。もう少し自国の超一流の選手を誇りに思ってほしいんだ。プロ野球選手がメジャーに挑んだ時もそうだった。「マツザカの剛球、打てますか」と尋ねたらよかった。「あなた方はイチローを抑えられますか? 無理だと思うけど」なんて聞く人がいてもいい。サッカーも早くそういう時代になってほしい。
俊輔はこれから、仲間や街になじまなければならない。一つのFKで人生が変わりもするだろう。新天地での挑戦は誰だって、いつだって難しい。
でも、人生は、いつの瞬間だって挑戦なんだ。