BOA SORTE KAZU

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BOA SORTE KAZU

“サッカー人として”  2006年05月23日(火)掲載

“サッカー人として”
2006年05月23日(火)掲載

W杯がすべてじゃない

 ワールドカップ(W杯)の日本代表23人が決まった日、僕は家でトレーナーと一緒にテレビ中継を見ていた。巻誠一郎選手のメンバー入りと久保竜彦選手の落選がみんなの驚きだったんだろう。ジーコ監督がどういう部分で判断したのかは代表チームの中にいないとわからないこと。ただ、巻選手は米国遠征や最近の合宿のほとんどに参加して、代表候補のグループの中にいたわけだから、今回の選出がサプライズだとは思わない。


 周りは色々なことを言う。誰を選んでほしいとか、4年後につながる若手がいないとか。でも、ジーコが考えるベストメンバーで戦うべきだ。監督はそれだけの重い責任を背負っているのだから。


 すべての選手にとってW杯は大きな夢であり、最大の目標。何にも代え難いもの。でも23人という枠がある限り、外れる選手は必ずいる。落選の後、すぐに前向きに考えられるかどうかは人それぞれ。1998年に僕が外れたときは帰国したその日から練習を始め、すぐに気持ちを切り替えた。僕らはプロ。代表から漏れてもサッカー選手としての職を失うわけじゃない。


 久保選手をはじめ世界中の似た境遇の選手に言えることは、逆境からはい上がるのは自分の力だということ。誰も助けてくれない。それが僕らの仕事。下を向く必要はないし、自分のやってきたことに誇りを持ってほしい。これから先のサッカー人生で今までと同様に感動を得られるし、与えることだってできる。


 誰かの得点をきっかけに笑顔が笑顔を呼ぶ。選手が悔しがっている姿を見て自分も頑張ろうと思う。それはJリーグでも少年少女の試合でも同じ。W杯のゴールだけがゴールじゃない。W杯だけが日本代表の試合でもない。ドイツでの戦いの後には、すぐに新たな代表チームが始動する。そこを目指せばいい。まだまだ最後まで。僕自身もそう思っているしね。


 ドイツでの試合は日本時間の夜中だけれど、日本とブラジルの試合は全部、生中継で見るつもり。大会中もJ2の試合が続くけど大丈夫。経験を生かしてうまく調整して。刺激を受けて僕も頑張るよ。