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クラブワールドカップ決勝でマンチェスター・ユナイテッドのFWルーニーのプレーを見ていると、サッカーがとても簡単なものに思えた。ロングパスを胸でトラップし、強いシュートをゴールの枠へ飛ばす。精度の高いプレーを当たり前のようにこなすから、「ああすればいいのか。自分にもできるんじゃないか」と感じさせてしまう。
同僚のクリスティアーノ・ロナウドやブラジル代表のロナウジーニョのアクロバチックなプレーも見ていて楽しいけれど、もっとすごいのは難しい技術を簡単に見せること。欧州王者の質の高いサッカーを堪能させてもらった。
そんな相手と準決勝で戦ったガンバ大阪は“よそ行き”のプレーじゃなく、パスをつないで攻める自分たちのスタイルを貫いた。あの舞台で超一流のチームと対戦して3点取れたことは素晴らしい。もちろんその中でも選手は差を感じたはずで、それがこれからのモチベーションになるだろう。
代表チーム優先の日本とは違い、欧州各国ではクラブチームの存在がとても大きい。今月半ばに旅先のイタリアでジェノア-アタランタ戦を観戦したら、警備で出動している警官の数、観客のテンションの高さにあらためて驚いた。普段のリーグ戦から常にあの重圧とストレスの中で戦っている選手には、土壇場での強さでかなわない気がした。
その前週のサンプドリア-ジェノアのジェノバ・ダービーでは、サンプドリアの得点がオフサイドで取り消された。スロー映像で見ても判断が難しいプレーで、0-1で負けたサンプドリア側のファンは「絶対にオフサイドじゃなかった」と言うし、ジェノア側の主張は「鼻がオフサイドラインから出ていた」。
反則一つについても延々と議論する文化だから、審判もうまくなる。荒れたグラウンド、ファンやメディアの厳しい目。そんな環境で鍛えられているから、選手にしても最後に勝負を争う場面で精神的な強さを発揮できるんじゃないか。
もちろんJリーグの理念である安全なスタジアム、みんなが楽しく観戦できる環境も素晴らしいもの。ただ、一人のアスリートとしては、あんな厳しい環境でプレーしてみたいと思うものなんだ。