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ワールドカップ(W杯)アジア最終予選初戦のバーレーン戦は3-2で、日本は白星スタートを切った。最後の2失点を問題にする人は多いだろうけれど、僕は良い試合だったと思う。何より最終予選の最初は内容よりも結果が大事。勝つことで自信と余裕を持てるし、内容も良くなっていく。
来年6月の最終戦までにいろんなドラマがあるだろうし、もちろん簡単には突破させてもらえない。でも選手にはその瞬間を楽しんでほしい。誇りを持って、気持ちよくプレーしてほしい。闘志はしっかり出しつつ、変に力むことなく力を100%出せればいい結果につながるはずだ。
今や日本はW杯に出ることが目標ではなくて、予選突破が当たり前という空気がある。それがマイナスに働くこともあるけれど、そんな重圧がなければ予選は勝ち抜けない気がする。勝っても負けてもどっちでもいいよ、と国民から思われている国は、最後のところで勝てないものだ。
ブラジルでは「コブランサ」がないチームはダメだと言われる。直訳すると要求とか取り立てという意味で、試合での結果や内容を求める社会的な要求のこと。ブラジルがなぜ強いかといったら、常にものすごく大きなコブランサが向けられているから。負けたら国中からたたかれるという重圧が、王国ブラジルを支えているんだ。
日本代表に向けられるコブランサも大きくなった。サッカーでご飯を食べている人も多いから、W杯予選の結果で生活が変わるのは選手だけじゃない。突破すれば雑誌の販売も増える。旅行会社や航空会社、テレビ局もそう。そんな周辺の人たちが潤っていくこともスポーツの成功の一部分なんだろう。代表はそんな責任を背負いつつ、テレビの前で応援してくれる人たちの熱、パワーもすべて受け止めないといけない。
第2戦のウズベキスタン戦は1カ月以上先だから、また選手のコンディションをそろえるのが大変で、けが人も出るかもしれない。でもその分、ほかの多くの選手にもチャンスがある。バーレーン戦に出場したサンフレッチェ広島の佐藤寿人選手はJ2の選手に希望を与えてくれた。僕もしっかりコンディション調整して、いい状態をつくって代表入りを狙っているんだ。